栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



生物情報

カブトムシ タガメ

翻刻

詩経所曰蜮即本草綱目之渓鬼虫也一名射工一名射影一名抱槍蔵
*1云此物大如鶏子形似蜣螂
頭有一角長寸余角上四岐
黒甲下有翅能飛云々昌蔵按ニ
此下ニ図スル処ノ和名冑虫ト云
モノ即是ナリ形容ヨリ覧タル
上ニテカキタルモニテ相違ナ
キモノナリ角上ノ四岐ニモ長短大小アリ又鉗状
蟹螯ニ似タルモノアリ図ノ如シ
又時珍曰射工長ニ三寸廣寸許形
扁前濶後挟頗似蝉状云々
其状如鼈也六七月甲下有翅能
飛作鉍々声濶頭尖喙有黒
眼頭有突角如爪長一二分有六
足如蟹足二足有喙不大而一爪四

足有腹下小而岐爪昌蔵按ニ俗ニ云
カツパ或ハ云田亀又田蝉ト云モノ是
ナリ時珍親ラ目撃シテ此形容ヲ写
出スル事至レリ盡セリト謂ヘシコレ
廣雅ニ所謂短孤詩注ノ■沙詩
疏ノ水弩也コレハ水虫ナリ然レハ蜮
二種アリ水陸ノ別アリト知ベシ短
孤ハ鸀■ダイサギ(王+鳥)及■■オシドリ(さんずいに鶏)(とりへんに勅)等啖フ事アリ往
年山家五位ト云鷺ヲ捕ル事アリ糞
ニ此田亀出事アリ然レハ此タイサギ
ノ類ノ此モノヲ啖フ珍シカラズコレ又予
考證ノ一ナリ江南渓毒アル処ニ偶此
虫ヲ獲タリ其形■(けものへんに争)獰醜悪因テ以
気為矢■沙以射人影即成病ト云テ
華人甚コレヲ怖ル本邦小児此ニ虫ヲ捕
ヘテ翫弄スト𧈧毒螫ノ患ナシ然レハ渓
毒ト云ヘハ深■(処又下に土)ノ湿熱山嵐ノ瘴気ナリ

(右頁下段)
此モノ熟シタル甜瓜の香気ヲ好ム瓜ヲ近
キ処ニ置ハ下ニ角入テ轉動ス因テ瓜コロバシト云小児小車ヲ
牽スニ此虫ヲ以テス
牛ノ車ヲ碾牽スル状ノ如シ
又有赭
色者頭
角短小
者又有
之時ニ後シ
テ出ルモノ
形チ至テ小ナルアリ

(左頁下段)
独角僊
カブトムシ好テ
笈果撻棒献
頭上有岐端
分四刺因俗云
笈加
雌者形小甲上
有■毛不光
頭上無角

書き下し

現代語訳

詩経*2でいう所の蜮は本草綱目*3の渓鬼虫である。また射工、射影、抱槍ともいう。蔵
*4では、この虫は鶏の卵大で、蜣螂(センチコガネ)に似ている*5
頭に長さ数寸*6余で上部が四つに分かれた角を持つ。 
黒い甲の下に、翅があり、よく飛ぶ云々。昌蔵*7思うに、
この下に図した和名カブトムシという 此下ニ図スル処ノ和名冑虫ト云
ものがこれだろう。書かれた特徴を見るに  
上に書いてあるものにちがいない 
ものである。角の上が四つに分かれ、長短大小があり、
カニのハサミに似ている物ものあるのは図の通りである。
また、時珍*8曰、射工は長さ二三寸*9巾寸*10ぐらいで
形は扁平で前が広く、後ろは狭い。大変蝉に似ているうんぬん。
その形はスッポンの様で、六七月甲の下に有る羽でよく 
飛び、鉍々*11という音を立てる。広い頭に尖ったクチバシを持ち、黒
眼が頭にあり、長さ一二分*12の爪のような角がある。六 
足はカニのようで、二足にはクチバシ状の物があり、大きくないが爪のようである。四

四足が腹下にあり、小さいが爪の様である。 昌蔵思うに、これは俗ニいう
カツパまたは、田亀又田蝉というもの
である。時珍*13みずから目で見てこの表現をしている 
ことは、いたれりつくせりというべきだ。 
廣雅*14に短孤詩注ノ■沙詩*15
疏ノ水弩である。これは水棲の虫である。ならば蜮
にはニ種アリ、水陸で別の物があるとしるべきである。短
孤はダイサギやオシドリ等が食う事がある。往
年サンノカゴイというサギを捕える事があった。その糞の中
にタガメが出る事があった。だから、ダイサギ 
の類がこれを食べるのは珍しくない。又私 
しらべるに江南渓の毒のある所に偶然 ノ一ナリ江南渓毒アル処ニ偶
この虫を撮った。その形、■(けものへんに争)獰*16醜悪でそのため、
気が矢となり■沙*17人影を射ると病になるといって、
中国人は、とてもこれを恐れていた。本邦では子供がこの虫を捕えて
遊んでいるが、さされて、毒の害はない。ということは、渓
毒というのは、深■(処又下に土)熱帯雨林の毒気であろう。

(右頁下段)
この物熟したマクワウリ*18香りを好む。近くに瓜 此モノ熟シタル甜瓜の香気ヲ好ム瓜ヲ近
を置いたなら、下二角を入れて、瓜を転ばすという。子供は小車
この虫に曳かす
牛が車を引くように
また赤茶色
の物、頭の
角短く小さい
ものがある。又
出るのがおそかった者は
姿が大変小さい事もある。

(左頁下段)
独角僊
カブトムシ好んで
笈果*19にあつまる。
頭上にある角の先は
四つに分かれている。
それにちなんで、俗に
笈加遒箸發いΑ
雌は形が小さく甲上に
■毛*20があり光らない。
頭上に角もない。

備考

蜮という字をめぐり、別称が多数あり、
本草綱目ではタガメを蔵器ではカブトムシを
さしているという結論にいたったようである。
なお、本草綱目における工射は以下の図
(国立国会図書館デジタルコレクション、本草綱目より

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