栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



原本B

生物情報

翻刻

(右頁下段)
此蛤東都ノ海中ニ
産スルモノト異ナリ
形丸ミアリテ質
堅ク厚シ斑紋
モ亦如此

(右頁上段)
小蟹胎於蛤腹中者俗呼カニムグリト云土州宿毛産蛤中各孕
小蟹方言サキツと云又薩州久見崎クミサキ海中所産之蛤十中ニ六
七ハ腹中ニ小蟹アリ蟹ト共ニ煮食ヘバ味極テ美ナリ遠境ノ
人甚コレヲ珍重ス其所産之海濱僅ニ方丁丁*1許之處ナリ其侘
ハ尋常ノモノニシテ蟹
アル事ナシ文化六己巳
ノ臈薩州栄翁老矦
本国ヨリ東都ニ輸致セシ
ム同僚桂月池国瑞ニ贈ラル
其中一個ヲ分テ予ニ分恵ス剖
開テコレヲミルニ肉ハ痩タリト雖
共存活セル事新ニ今海中ヨリ拾
得タルモノト同シ煮味テ珍賞スルニ
余味感スベシ三四百里程ノ日数ヲ経テ来レルモノニ此蟹も亦活

(左頁)
在ス一奇事ナリ後年遺忘セン事ヲ恐ル因テコヽニアリノマヽニ其
事ヲ識シ同好君子ニ示スノミ昌蔵按嶺南雑記云剣蚌腹有小
蟹任圭勸杁謂之節即是也

此小蟹図ノ如クナル大サ
ナリ背甲白キ三星アリ
肚下紋所ノ葵紋アリム
キミノヒラ々シタル処ヲタスキト云ハカマトモ云其タスキノ薄キ
皮ト肉トノ間ニ此小キ蟹入出ス口ヲ開ク共殻外ヘモ出テ遊
フニヤ全体入ヘキ余地ナキ処也

書き下し

現代語訳

(右頁下段)
このハマグリは江戸の海中で
採れたものと異なる。
形にまるみがあって、質*2
堅く厚く、斑紋
もまた、このようである。 

(右頁上段)
ハマグリの中の小さいカニを俗にカニムグリという。土州*3宿毛産のハマグリの中にいる
小さいカニをサキツという。また、薩州*4久見崎クミサキ海中で採れるハマグリは十の内六
七は腹の中に小さいカニがいる。カニと一緒に煮て食べると、とてもおいしい。遠い国の
人はこれをとても珍重した。その採れる海辺はニ町しかない。その侘*5
は普通のもので、カニ
がいることはない。文化六*6己巳
に臈*7薩州*8栄翁老矦*9
本国*10から江戸に輸入させ
たのを、同僚桂月池国瑞*11に贈られた物の
中の一個を分けて、私に恵んでくれた。切って
ひらいて見ると肉は痩せていたけれども
両方とも生きていた。まるで今海中から拾って
来たものと同じようだった。煮て味つけして、珍しく賞味するも、
あまり味感じなかった。三四百里*12ほどの日数を経て来たものに、このカニも生きて

(左頁)
いた事は珍しい事である。後に、のこし忘れる事を恐れて、ここにありのままに、その
事を知らせ、同好君子に示す。昌蔵が考えるに、嶺南雑記*13では「剣蚌」の腹に小さい
カニ、任*14述異記*15の言うこの節はこれではないか。

この小さいカニは図のような大きさ
である。背中の甲に白い三つの星があり、
腹の下には、家紋の葵の紋がある。
むき身のヒラヒラした所をタスキといい、ハカマともいう。そのタスキの薄い
皮と肉の間にこの小さいカニ出入りする。口を開くが、殻の外へも出てきた
全体が入る余地はない所である。

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