栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



生物情報

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(右頁)
此物金糸梅及び鷹爪レダマニ着テ嫩葉ヲ啖テ大ニ害ヲナス早ク取捨ベキ
ナリ或云此虫ヲ取外殻ヲ剥テ小匣ニ納蓄フ一ハ金糸一ハ銀糸一ハ紅糸
四五分許ニ剪断〆入置ハ一夜ニ〆綴ヨセテ巣トナス奇観トナスベシ
ト予懇友芝陽モ試シタリトテ語ル
四五月ノ頃薔薇長春及金糸梅等ニ
多着嫩葉ヲ食フ又花前ニ其蓓
蕾ヲ蛀〆花ノ害ヲナスモノナリ
木葉ノ咬残リタルヲ綴リ巣ニ
作ルヲハムスビ又云ツヾレミノト云
中華古今注ノ結草虫ナリ
採蘭雑志ニ木螺ノ名アリ
又細枝ヲ聚テ結巣スルモノアリ
ミノムシト云程亝医抄撮要ニ出其
書云今柘榴上復有一種聚短梗半寸以未周園植之以自裏身行
則負以自随亦化蛹其虫俗呼避債虫


(左頁右上段)
文化六己巳ノ秋月 本城御休息御庭中ニ出御尋ニ付名未詳
何木ニ生シル処モ不分明ノ由申上ル前年榠樝クワリンニ付キ居ル虫トテ一覧
スル虫ニ能似居御趣申上ル四脚有テ行ク事遅シ尾ソリ返リテ
裏ノ方見ハル異形ノモノナリ略其状ヲ写シテ献ス其後野外
翹揺ノエンドウノ葉ニ着モノヲ取包ミタル
紙ヲクヒサキ其身ヲ蔽ヒ
蛹ニ化ス数月ヲ経テ䖸トナル
褐色ニ〆不美尋常ノ状ナレハ
棄去ルコヽニ図セズ

(左頁右下)
蠋ノ一種異品嫩
緑ニテ柔ニ透明
ナリ性静ニ〆揺
走スル事ナシ背
上黒子ヲ生スル事
三十餘枚アリ黒
皮アリ堅シ脱シメ
子出ルモノ蛆ノ
如シ至テ柔ニス
キトオルモノナ
リ文政九丙戌
四月晦日園中
ニアリトテ子供
モチ来ルニ任セテ
写真ス

書き下し

現代語訳

(右頁)
この物金糸梅*1及び鷹爪レダマ*2に着いて若葉を食べて、大変な害をなす。早くに取捨てるべき
である。あるいはこの虫を取って、殻をむいて小箱で飼うとき、金糸、銀糸、紅糸
を四五分*3程度に切って入れておけば、一晩でつづり上げて巣にするという。珍しい眺めである。
と私の親しい友人芝陽*4も試したと語る。
四五月の頃、薔薇長春*5または、金糸梅*6などに
多くついて、若葉を食う。また、花が咲く前の蕾
ヲ食い荒らして、花に害をなすものである。
木葉の食べ残りをつづりあわせて、巣を
作るのを、ハムスビまた、ツヅレミノという。
中華古今注*7の結草虫である。
採蘭雑志*8に木螺の名あり。
また、細い枝を集めて巣をつくるものもいる。
ミノムシという。程亝医抄撮要*9にでる。その
書が云いうには、ザクロの上につく。また、一種、有一種聚短梗*10半寸*11を集める以未周園植之以自裏*12身行
則負以自随*13また蛹と化す。虫、避債虫呼ぶ。


(左頁右上段)
文化六己巳*14の秋月 本城御休息御庭の中に出る。御尋に付名は未だわからない。
何の木についていたかもわからないと申し上げる。前年榠樝クワリンについていた虫を一覧
する虫に、よく似た虫がいたと申し上げる。四脚あって歩くのは遅い。尾はそりかえって、
裏の方見える。異形のものでる。略して其状を写して献じた。其後、野外で
翹揺ノエンドウノ葉ニ着モノヲ取包ミタル
紙をひきさき、その身を覆い、
蛹になる。数月後、ガになる。
褐色で美しくなく、ありふれた姿だったので、
棄てた。ここに図さなかった。

(左頁右下)
イモムシの一種珍しいもの。新芽のような
緑で、やわらかく、
性格は静かで、揺れ 
走ることはない。背
の上に黒子*15を生やす事
およそ30枚くらいある。黒
皮があって堅い。脱して
子が出るもの、ウジの 
ようである。大変やわらかく
透き通るものである。
文政九丙戌*16
四月最後の日、園中
にあったといって、
持ってくるのにまかせて、
写した。

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