栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
土螽 ツチバツタ
陽地ニアリ好テ跳ル
獲易カラズ
一種極小黒身緑青或ハ紺青ノ光ア
ルモノアリハキ庭陽地ノ処ニアリ一跳
尺許取難シ
馬蟻ニ似テ
小ナリ
手ニ

捕レハ臭気
アリ水洗ヒテモ脱
去スル事ナシ蓋シ毒アルヘシ
又大ナルモノアリ其種類モ又多カルベシ

(右頁下段)
ヤブキリ クタマキ𪜈云
絡緯ハタヲリノ類ナリ

(左頁上段)
イナゴ 稲ノ穂ニツク多ク着ハ害ヲナス炒テ食ヘハ味甘シ小鳥ニ飼テ良
薬トス小鳥ノ瀉薬ナリト云人アリトヤノマヘ糞ツマリノ時ナドニ一日
ホド用ユル事ヨシ常ニ用ユヘカラズ
里民ハ多取貯置テ炙喰フ酒媒
ニモコレヲ用ユト云
ヤマトスヾ自園中深叢中ニアリ蟋蟀
中最小者也形小ナリト𧈧𪜈啼く響ハ意外
ニ遠クニ聞エ積年此虫声ヲ聞トモ形ヲ
ミル事ナシ文政五壬午秋月佐藤左衛門此虫
ヲ捕テ贈来始テ小紗焚中ニ畜フ
新御殿ニ献ス一個八七月ノ末ヨリ八月三
十夜々枕邊ニエオキ連
綿不絶雅□アリ
秋情ヲ慰ス佐藤
氏名ヲ知ラズコレヲ
仮ニ長声ト称ス又
音通長声ト号ス
有詩云
  微物看難見無知亦有名
  声々鳴不息恰侶祝長生

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
土螽 ツチバツタ
日向にいて、よく跳ねる。
捕まえるのがむずかしい。
一種、極小で体が黒く体に緑青または紺青の光あ
るものがあった。ハキ庭の日向の所にいる。一跳びで
尺許*1捕まえるのがむずかしい。
馬蟻*2ニ似ていて
小さい
手に

とると、臭みが
ある。水であらっても、
とれない。思うに毒があるだろう。
また大きい物もある。その種類もまた、多い。

(右頁下段)
ヤブキリ クタマキ𪜈云
絡緯ハタヲリの類である。

(左頁上段)
イナゴ 稲の穂につく物は害をなす。炒って食べれば味は甘い。小鳥に食わせて良
薬とする。小鳥の下薬であるという人がいた。換羽前、糞つまりの時などに、一日
くらい用いるのがいい。普段使いにしてはならない。
里の人はたくさん取りためて置き、あぶって食う。酒の肴
にもこれを用いるという。
ヤマトスヾ自園中深い草むらの中にいる。蟋蟀の
中で最小のものである。体は小さいけれども、啼く響きは意外
に遠くにまで聞こえ、長年この虫の声を聴くことはあっても、姿を
みる事がなかった。文政五壬午*3秋月、佐藤左衛門がこの虫
をつかまえて贈ってきてくれた。 捕テ贈来始テ小紗焚*4中で飼い
新御殿*5に献上した。一個八七月の末から八月三
十夜々枕元におき連
綿として絶えることなく雅な□アリ
秋情をなぐさめる。佐藤
氏は名を知らず、これを
仮に長声となづける。また
音通長声と号す。
有詩云*6
  微物看難見無知亦有名
  声々鳴不息恰侶祝長生

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