蜜蜂の巣はたてに立て結ぶ。その間にしきりの柱というつなぎがある。これは取って
横から見た図である。新しく作った巣は白く黄なる気味を帯びる。まだ蜜を詰めていない
のを空巣と云。蜜をすでに詰めた巣を飴巣という。両面から蜜をつめたものである。
一年ほど経た巣はカバ色に変色する。蝋を製する時、新巣は色が白く中はほんの少し
黄色を帯びる。古いものはやけて、カバ色
*1になる。
蜜蝋は蜜蜂の巣から採った蝋である。新しい巣は色が白く、白蝋となる。
年を経て色黄色になる。さらに年を経た物はカバ色になる。採る方法は
まず手で砕き、銅鍋に水を同じくらいに入れ弱火で煮て箸で混ぜれば
巣はみなとける。別の磁器に冷水を入れて置き、
馬毛籮*2を使って
置いてあった冷水に漉しいれると蝋は水の上に固まり浮く。それをすくいとって、
薬
*3のかかった磁器に入、湯煎にすれば一塊になる。
できものに塗り薬として加えるものである。