(蚕)−沙の性質はよく吸い寄せる
効能がある。たいてい
眼に物が入った時は
水で堅めたものを
細かい粉末にして
練り、細長くほうれい
綿につけて眼にはさむ
とよい。この時に
入った物は立所に出る。
また、昔入った
塵埃であっても
吸い出すのは、すばらしい。
私は過去に鹿
角を焼き石
臼でついて粉にしていた時、
眼に入ったことがある。三角で
ソバの実程のおおきさで、痛くて耐えられない程だった。
此物を新しく粉にして練り、綿につけて眼にはさむと
しばらくして、尖った角が躍り出た。たちどころにに痛みが治まった。
子供の鵞口瘡
*1に食塩を少しばかり入れこの粉末を
ぬりすりつけておけば、口の熱がなくなり、だんだん白い物
剥がれ去る。本草附方
*2に子供の口のできものを
治すとある。
原蚕作る繭は円形で柔らかく、ハルゴの固く小さく
くびれがあるのと異なる。
その卵となると、四、五匹が一繭にはいったりして、醜い。
また、八匹の蚕が一つの繭に入る事を甲州
*3方言で八人枕という。