□わからない。その葉をかたく巻いて中は空ではない。だから虫の巣でもない。奇妙な物だ。貞幹の説によると
私臆抄
*1元禄
*2の頃の本で、既に虫の巣ではない事ヲが記されている。よくみるに、讃州
*3庶民の説も同じく否定されている。
人虱 清では俗に六脚虫という。日本では俗に半風という。風の字の半分を書いて、その名前を指すからだ。人の体につく
時は色が白く、歩みも遅い。髪につく時は動きがすばやく、色が黒い。髪虱は
形は長く色も黒色で、毛にしがみついて、
大変早く出没し俊敏である。
もしかすると別の一種かもしれない。
陰毛の中のものは、形が丸く平らで
草草ダニに似ている。皆それぞれその形が
違う。
イヌノダニ 狗の耳に多くついている。その外、
毛のない所に食いつく。
形は萆麻子
*4に似て青く光る
潰すと黒い血が出る
牛蝨 ダニ 石州
*5 雲州
*6
ではホジという。 水戸
*7ではスダリ、肥前
*8にてキハフツ
ツブと言う。五十四歳の男が、へその中に、時々かゆみを覚えていた。三十日後その大きさ、如酸枣
*9わずかに平たい。
左図のようである。これをとろうとしてひっぱると、痛みをうったえ、はなれない。同僚の桂甫賢
*10がコレを薬線
*11で結び
一夜にして離れて落ちた。これをよく見ると牛蜱
*12であった。八本の足が列になってつき、フグのテフ
*13の
ようだ。八つ足は動くだけ。
目がなく、嘴
*14長く尖り
少し曲がる。私に鑑
定を頼まれた時は栗粒の大きさだったが、三十
日すると大サ図のようになった。文政戌子
*15秋月