石蠹 昌蔵
*1本草綱目
*2では、石蠹。條下蔵器
*3では、蠹虫一名石下新
今伊洛間
*4水底の石の下にいる様子はカイコのよう云々。山堂肆考
*5石下新婦という
弘景
*6曰云々姿は老齢の蚕のようで地元民はこれを採って食べる。蘇敬
*7曰石蚕は形が蚕の様で角のような
節があり、青黒色をしている。保昇
*8がいうには、この虫は木や石の間にいる。釣り餌の為に取る。馬湖石門
*9最も多く住民は
これを食う、とありこれらの数説の中の老蚕の様で、人が取ってたべるというこの虫は
孫太郎虫であろう。この虫は渓流の中の大きな石を起してみると、その下に
いると言う説とよく合致する。なので
石蚕として穏当であると思う。その一種には砂石
をつづって巣とし、その中に身を隠すのは
大黒虫という。又セムシ等と言う人もいる。
これらは石の上につく。釣の餌には使うけれども人
取ってたべるものではない。皆、これは石蠹ノ別
種であって、ここに図する物と全く別のものである。ここに図するのは、
河の中で人が誤って踏めば、直ちに咬み傷を作る。その痛みは堪えがたい。
ムカデの傷に劣らない。その為人々この虫に咬まれる事を恐れる。それにちなみ川ム
カデとも言う。
(欄外)
食はせて、疳の虫を治す。全蠍(サソリ)と同じ効果があると伝わる
奥州
*10犀
川
*11の孫太
郎虫と言う。
また犀川虫
ともいう。子供に醬
油にひたして
焙って食べると
味は鰻鰜
*12
様でおいしい。
もっぱら五
疳
*13虫気ヲ
治すという九
香虫
*14ノ一
種である。