千虫譜ウィキ - 原本A1-62


原本B

生物情報

オオムラサキ アカスジシロコケガ セセリチョウの一種

翻刻

会津方言ヨロイテウ クヌギ林ニアリ檞葉ヲ食フ虫山繭ヲ作リ又
化シテ此蝶トナルモノナルベシト云果シテ然ルヲ詳ニセズ然レ共此蝶夏初檞檪多
キ林中辺ニ飛行セルヲ得タリ

ヨロイテフ牽牛花
色ノ如ク極テ美ナ
リ然レ共出ル
事甚稀ナ
リコレ又鳳
車ノ別
種ニシテ奇
品ナリ

(左頁上段)
五月上旬左ニ図所の巣ヨリ此蝶破リ出

毛虫ノ巣毛ヲ以テ造ル内空アリテ
マユノ如シ其巧至美ナリ

(下段)
花蛾

性軽捷ニシテ人ニ獲ラレズ指
頭ニ酒ヲ塗テ出セバ花ヨリ
指頭ニ移リ貪吸フ嘴ヲ爪
ニテ捕レバ去ル事ヲ得ズ

書き下し

現代語訳

会津*1方言ヨロイチョウ クヌギ林いて、カシワの葉を食う虫は山繭を作り、また
羽化してこの蝶なる という。果たして本当かどうか詳しくはわからない。しかし、此蝶は夏の初めカシワ、クヌギの多
い林の中の辺りに飛んでいるのをとった。

ヨロイチョウはアサガオの
色のように極めて美しい
しかし、出る事は
大変珍しい
これはまた、
アゲハの
別の種で
珍しいものである。

(左頁上段)
五月上旬、左に描いた巣から、この蝶破って出てきた。

毛虫はその毛を使って巣をつくり、内に空間があって
繭のようだ。その技は大変美しい。

(下段)
花蛾

正確は軽やかで素早く、人が取るのは難しい。
指のあたまに、酒を塗って出せば、花より
指頭に移り、貪り吸う。クチバシ*2を爪で
つかまえれば、飛び立てなくなる。

備考

オオムラサキの幼虫の食草はエノキ。タテハチョウの仲間で、アゲハの仲間ではない。
セセリチョウは種類が多く編者には同定が不能。専門家の答えを待つ。