千虫譜ウィキ - 原本A1-69
原本B
原本B2-14
原本B2-13
原本B4-8
生物情報
翻刻
此ニ虫偶此処ニアルヲ人見テ咎ヲ此虫二皈
ス素ヨリ此物人ヲ害セントスルニ意ナシ予此
モノヽ為ニ冤ヲ訟フコレ予積年ノ拙考ナ
リ今此ニ疎出シテ同士君子ニ示ス
為鬼為蜮
如此類ノ処ヨリ下ヘ裂テ蝶
出ル空虚ノ殻久ク枝上ニ残存ス
縊女
クビクヽリムシ
オキクムシ
文化紀元薬品会ニテ見タルハ堅硬白漆ニテ塗タル
カ如シ形状ハ異ナル事ナシ是輪池屋代氏
手得ノモノ由
書き下し
現代語訳
この二匹の虫が偶々ここにある所を人が見て、この虫に咎を皈
す。
*1
普段から、この虫は人を害そうとする気はない。私は
この虫の為に冤罪を訴えた。これは私の積年の考えである。
今ここに、出して同士君子に見せる。
為鬼為蜮
このように頭の所から下へ裂けて蝶が
出る。空っぽの殻は長い間枝の上に残る。
縊女
クビククリムシ
オキクムシ
文化紀元
*2
薬品会
*3
で見たのは、堅く白漆で塗った
ようだった。形は異なる部分はない。これは輪池屋代氏
*4
手に入れたものであるとのことである。
備考
抜け殻の上部が、B本では小枝として描かれている。
枝に糸をかけ、繭を作らない蝶や蛾の蛹を
その姿から首を吊った女性の姿にたとえた事がわかる。
オキクムシは播州皿屋敷で犠牲となったお菊という女性の怨念が
虫に化けるという伝承より。各地様々のヴァリエーションがある。
詳しくはお菊虫で検索。