鈴虫によく似た虫 背は平で、脇が曲線を描いて膨らむ。 丁丑
*1九月六日写
首はほそく、くちばしが長く下へ曲がり、カギのようである。短い鬚が二つある。前肢黒土色で、
ツヤはない。腹は黒褐色で、羽は小さくたたんで、せおっている。足はうすい褐色で、
斑点がある。前足は黒く、つけ根は大変ホソク、急にふくれて、また先は、大変
細い
(左頁上段)
軍配虫 俗にグンバイという。うちわの形に似ているので、この名をつけた。甲戌
*2仲
夏下旬 西城
*3からおたずねだったので、略図を添えて返す時この名を申し
上げる。漢名なし。
全身透き通っていて 全躰スキトヲ
雲母
*4片の
ようである。翼の筋はみな
六角で亀
甲紋をしている。
頭の小羽は上の方へ向いて
たてに出ていて、写生するといっても、
緻密さの極みの所は絵に描きがたい。
夏秋の際、めずらしい一小羽虫である。其の形、ゴマつぶより小さい形である。
顕微鏡で照して見れば、頭に三方に小羽が出て■(糸+女)帽(B本では紗帽)
*5載せる
ようである。白いまだらの所は、白い網目のようで、細かい亀甲文を
している。本当に、奇功で、筆力がおよばない。その形のおおよそを
ここに手で写すという。
(左頁下段)
○盆栽の蓮の巻葉および茎
につくアブラムシである。大きさえ
ゴマほどあり、虫眼鏡をつかって写す