ワレカラ
貝原翁
*1の説では小貝で虫ではない
という。これは、その土地の漁師らの
方言でワレカラという
からか。というのも、その物
描くと違いがある。
ここに描くのは
筑紫
*2で採った
ワレカラである。
大和本草
*3云ワレカラが古歌に詠まれているのは藻に住む虫である。また本草約
言
*4が言うには、紫菜の中に、小さい巻貝があった。思うにこの類がワレカラだろう。
藻について、殻が一片での貝があり、
分殻の意味だろう。フタが無いためである。
これは、ヨメガサラ
*5の小さいものである。また古歌に詠まれているワレカラ海中の藻に住む小貝である。
色はうすい黒で大きさ三四分
*6その殻はわれやすい。形はミゾガイ等に
似ている。大変小さい。この藻はナゴヤ
*7といって、紫色である。
日に晒せば白くなり、食べられるが、そんなに美味しくない。または、松藻
*8にもこの貝は
ついている。松藻は長く、茎も太い。
カラスガイの小さいものであるという説もある。閩書では烏稔。漳州府
志
*9の烏粘である。