千虫譜ウィキ - 原本A1-91


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
アブラムシ竈ノ辺ニ多シ繁殖スレハ
室中ヲ疾走シシメ食物ニツキ大ニ害アル
虫也
  漳州府志曰■(虫+西)虫形如
  龍虱縁壁喜走好蔵厨筐
  中喫物食之此虫形扁色
  黒又台湾府志曰螥螂壹
  多産好蔵樹中者即是

天香楼偶得云杭人家多
臭虫入夜縁床入幙■(口+替)人
肌血最可厭恨然杭人
相戒不敢治謂以臭虫
多募ト家業盛衰云

(右頁下段)
杉ムシ

行夜
ヘコキムシ
一種遍身
黒光甲上筋アリ

コレニ触ルヽトキハ
白気ヲ屁出ス悪
臭アリ

アブラムシ
ゴキカブリ 捷走シテ器ヲ穿テ食物ニ
ツキテ好ヲ舐リ寒具ヲ等ヲ損スル事
鼠害ニ劣ラズ

(左頁上段)
文化八辛未六月廿日
ミムラサキニツク赭黒
色ニシテ光リアリ

(左頁下段)
行夜一種黄褐色者
 三月上旬

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
アブラムシはかまどのあたりに、多い。
部屋の中を疾走して、食べ物につき、たいへん害ある
虫である。
  漳州府志曰■(虫+西)虫は形が
  龍虱*1に似て、壁縁を、縁壁を喜び走り蔵、台所、箱
  中を好み、これらを喫食する。この虫は形が平らで、
  黒い。又、台湾府志*2曰螥螂は一匹が
  たくさん産む。蔵樹中*3を好む。

天香楼偶得*4がいうには、杭州人の家に多い
臭虫*5夜、縁床や幙に入り、人の
肌の血■(口+替)る。*6最も嫌われるべき虫だが、杭人は
敢て追い出さない。曰く臭虫の
多い少ないをもって、家業の盛衰を占うという。

(右頁下段)
杉ムシ

行夜
ヘコキムシ
一種平らな体で
黒光りし、甲羅の上に線条がある。

これに触ると、
白気を屁として出す。
臭がある。

アブラムシ
ゴキカブリ すばやく走り器を穴をあけ、食物に
ついて、好きな物を舐める。防寒具などに被害をあたえる事
ネズミに劣らない。

(左頁上段)
文化八*7辛未六月二十日
ミムラサキ*8につく。赤黒く
ツヤがある。

(左頁下段)
行夜*9の一種、黄褐色のもの
 三月上旬

備考