千虫譜ウィキ - 原本A2-14


原本B

生物情報

翻刻

(右頁 上段)
紫梢花 寛政六甲寅夏月江州鸊鶙湖産
紫梢
花ハ綱
目弔ノ條
下二出近江
湖水邊方
言カニクソ蘆竹
上ニツク状蒲槌ノ如シ
灰色ナリ陳自明婦人良方
云紫梢花生湖澤中乃魚蝦
生卵于竹木之上状如糠潵云木用
之トアリ

(右頁下段)
中心ハ蘆茎ナリ

(左頁)
文政四年ノ頃京都町司代松平和泉守殿堀川邸中庭ニ
在シヲ捕ヘ画工原在明ヲシテ写真セシメラル
按ニ全ノ三足トハ見ヘカタシ過テ後脚ヲ損
ナラン

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
紫梢花 寛政六*1甲寅夏月江州*2鸊鶙湖*3
紫梢花は
綱目*4弔の條
下に出ている。近江
湖の水辺方
言カニクソ蘆竹
上についている状蒲の穂のようで、
灰色である。陳自明*5婦人良方*6
がいうには、紫梢花は湖澤中にうまれる、または、魚やエビが
竹の枝に産む卵で糠潵*7のような物を言う。木用
之トアリ*8

(右頁下段)
中心はアシの茎である

(左頁)
文政四年*9の頃、京都町司代*10松平和泉守殿の堀川邸の中庭に
いたのを捕まえて画工*11原在明*12に写させた。 在シヲ捕ヘ画工原在明ヲシテ写真セシメラル
考えるに、全くの三足とは見えない。後にあやまって、後ろ足を
なくしたのであろう。

備考

紫梢花は、淡水に生きるカイメンで、日本には存在しない。
では、近江湖の人々のいう、カニクソとはなんなのだろうか…?
要調査。続報を待て。