千虫譜ウィキ - 原本A2-18


原本B

生物情報

翻刻

アリテ寄来ル人多コレヲ取ル然レ共怪テ食フモノナシ試ニ煮
テ犬ニ与テ喰ハシムルニ皆煩悶苦痛の体ナリ因テ有毒ノ物
ト知ル漁人偶得ル事アリハ則章魚ヲ棄テ殻ノミ採リ以テ珍
玩トシテ四方ニ寄ス然レ共其殻モロク砕ケ易シ久ク用ユルニタヘズ

職方外紀云一種介属之魚僅尺許有殻六足ニ有皮如欲他徒則竪
半殻当舟張足皮当帆乗風而行名曰舡魚 龍威秘書巻九譚史
紀餘云舡魚六足有殻有皮僅尺許如欲他徒則竪半殻当舟張足皮
当帆乗風而去

書き下し

現代語訳

あって、寄ってきた人が多くこれを取った。しかし、怪しいので食べる者はいなかった。試しに煮
て、犬に与えて食わせるに、皆、悶え苦しむので、毒があると
わかった。漁師は偶に得る事があれば、タコを捨て、殻だけ採って珍しい 
ものとしてあちこちに売る。 けれども、その殻は脆く砕けやすいので、長く使う物には耐えられない。 

職方外紀*1で、貝属の魚の一種で、わずか尺*2ほどの殻が有り六足に、有皮如欲他徒*3たて
半分の殻は船にあたり、足の皮を張り帆にして、風にのるので、舡魚という。 龍威秘書*4巻九譚史
紀餘*5では舡魚は六足あり、殻にわずか尺ばかりの皮がある、如欲他徒*6そして、たて半分の殻を船にし、足の皮を張り、
帆として、風にのって行く。

備考