赤クラゲ 又シャグマクラゲという。腹の毛が
赤熊の毛のよう
なのでこの名アリ。備前
*1皃嶋
*2及び勢州
*3鳥羽の海中に採れる。薩州
*4
方言イラという物の類である。猛毒があり、手が触れれば、
蕁麻に刺
れたかのように、腫れて痛みたえがたい。また、 又しびれ、じんじんと痛む。赤 毛が落て
鮭
菜や、
醬蝦の中にまじる事がある。間違って食べれば、腹が膨悶絶
して死んでしまう者も
いる。恐ろしい
ものである。
乾燥させた、
物を粉にして
嗅ぐと
非常に辛い
胡椒の香り
がある。すぐにくしゃみが
出るのは、猪牙皀莢
*5
の粉末に似ている。猛
毒があるといって、漁師も アリト云テ漁人モ
捨て去る。丹洲思うに、本草
*6毒草の部の、「毛莨」
附録に記載されている「海薑」というものこれではないかと。弘景注
*7鉤吻
*8では、「海薑」海中に生き赤
色で石㡣芮
*9の様で、猛毒がある云々。この赤クラケのかたちも、まるで(タガラシ){石㡣芮}葉に似て
いる。その乾した粉になったものは、とても辛い臭いがして、乾姜
*10ノのようだ。推測するに、よくその様子
を説明にあうと言える。しばらく、図説を設けて、同好の君子に尓ス
*11ト云