ジコボウ 摂州
*1方言である。宝永七
*2庚寅年七月の初から
京都、洛中洛外
*3の家々の屋根裏に毛虫出て九月までやまなかった。刺されると
はれて、とても痛くて耐えられない。ジュコウムシという。その後、京、大阪城内
陣屋
*4御番衆
*5の小屋々に出て、
患った。ジコウボウという。四国ではイラムシ
といい、もし、衣類について肌に触れる時は、
刺された処のみならず、全身に腫れが広がり痛む。
朝顔の葉の絞汁を伝えれば、癒えるという。無い時は、鉄器
で患部を撫で擦ると■(やまいだれ+差)という。
今でも、やはり、ある時とないと年もある。また年ごとに
多く出る事もある。大変、人々の害になる。
シコウ虫ともいい、毎年四五月の頃、羽化して成虫になる。この成虫が、また子を産む。それが六七
月頃孵化して、ジコウ虫となる。八九月になると、再び、羽化して成虫になり、来年の春の卵を産む。
翌年の春かえり、年にニ度づつ出てくるものである。成虫の姿は銀色の蝶のようで、図のような物である。
土岐称
*6花生物を浪華
*7から取寄られた物を絵にかいた。天保癸巳
*8七月一日