千虫譜ウィキ - 原本A2-42


原本B

生物情報

翻刻

(上段)
水蠱ノムシ
足纏ニ種黒色ト
赭色の別アリ俗ニ
ハリカ子ムシト云
長サ一尺或ハ一尺
五六寸アリ光リ
アリ此節閩小
記ニ所謂線
虫也
或云蟷螂カマキリ又ハ
馬蚱キリギリスノ腹
中ヨリ此虫出ル事アリコ
レ其蝒虫
ナリヤ一奇
ナリ大抵ハ
筧ノ桶ノ内
水中ニアルモノナリ
(下段)
アシマトヒ
墨客揮犀云余一夕大酔乾甚取水
欲飲聞水中有声急呼燭観之得一虫
状如蚯蚓細而長問左右曰水蠱虫也

入腹中食人腸胃続明道雑志黄州雨
後泥中有虫如細蚓長尺余土人謂之蠱
或人践之至其所践処皆折烈又有一虫
亦謂之蠱頭如■身長尺許稍■之
即断

書き下し

現代語訳

(上段)
水蠱のむし
「足纏」ニ種類。黒色と
赤土色のものがいる。俗に
ハリカネムシトいう。
長さ一尺*1あるいは一尺
五六寸*2あってツヤが
ある。閩小
記によれば*3にいわゆる線
虫である。
あるいはいう、カマキリまたは、
叫ぶキリギリスの腹の
中から、この虫が出る事がある。 
これはその、寄生虫である。
だろうか。珍しいもの
である。大抵は
*4の桶の中の
水中にいたものである。
(下段)
アシマトヒ
墨客揮犀*5では、「私がある夕方かなり酔っぱらって、のどが大変乾いたので、水を取って 余一夕大酔乾甚取水
飲もうとしたとき、水中から急に叫ぶ声がしたので、明かりで見ると、この虫を得た。
形はミミズのようで、細く長く左右を問うと、いわく「水蠱」という虫である。 

人の腹の中にはいり、人の腸や胃を食べる。続明道雑志*6黄州*7
雨の後泥の中にいる虫で、細いミミズのようで、長さ約30cm余。地元民がいうには、これは「蠱」
あるいは「人践」之至其所践処皆折烈又有一虫
亦謂之蠱頭如■身長尺許稍■之
即断*8

備考