千虫譜ウィキ - 原本A2-50


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
ガムシ
羽州米澤ノ産也水中ニ生ス
是又ゲンコロウノ类也里人醬
油ニテ煮ツケ喰フ味美ナリト云

(右頁下段)
龍虱 ゲンコロウ 古池ニ多ク生ズ水
面ニ浮テ烈日ニ甲ヲ乾テ飛フ活
魚ニトリツキテ肉ヲ啖害ヲ
ナス姦商蠊虫トナシテ
售ルコトアリ非ナリ
閩書ニ水亀ノ
名アリ
(左頁)
馬尾蜂 其尾毛ニ條長七八寸又尺許ノモノアリ人ヲ螫事ナシ
文政丙戌夏或人獲之予ニ贈ル尾三條アリ長サ此図ノ如シ今ニ儲
蔵ス

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
ガムシ
羽州*1米澤でとれた物である。水中にいる。
これはまた、ゲンコロウの類である。里の人は醬油でにつけて
食べる。美味しいという。

(右頁下段)
龍虱 ゲンコロウ 古池に多く生息する。水
面に浮て太陽が強く照りつける日に甲を干して飛ぶ
活魚にとりついて、その肉を食害する。
ずるい商人は、蠊虫*2として
売る事があるが、違うものである。
閩書*3に「水亀」の
なあり。
(左頁)
馬尾蜂 その尾には毛がニ條、長さ七八寸*4また尺*5ばかりの物もある。人を刺す事はない。
文政丙戌*6夏、ある人これをとらえ、私に贈る。尾は三條*7ある。長さは、この図の通り。今も
貯蔵する。

備考