蜂の類で形はハサミ虫に似て
細い。羽があって飛ぶ。地に落ち
れば、すばやく走る。大変嫌なにおいがする。
物でもって触れば、尾で刺す
ス様子をする。
走る時は
羽をたたみこんで、
見えない。
葛上亭長 コウヤヒヂリ
上総
*1方言では北条ムシ。蛍に似て硬い
黒い甲があり、細い白い筋が三行ある。豆の蕾
および葛の上に着いて葉を食べる。毒は 及葛上ニ着テ葉ヲ啖フ其毒猛
猛烈で、薬用にして、斑猫に劣らない、今瘍科の
発泡
*2に用いる。
(左頁上段)
文政十一戌子
*3初夏に高松矦
*4の住居に
昼夜に限らずたくさんでると、聞いた。この虫はシイの花
につく虫で、毒がある。効能はカンターリーという外国産
のゲンセイに劣らない。■(草かんむり+蕟)
*5疱膏に入れるべきものである。
椎の木の花に
たいへん多く集まり
付く事がある。
また、花木
カシワの花
にもつき
大変多く、
集る。手に
ふれれば、たちまち
赤く腫れ熱をもって痛む。
(左頁中段)
天牛□□種たいへん小
さいもの。形は菊虎
*6
にも似ている。
(左頁下段)
菊虎 キクスイ
人を見れば、すばやく飛び
去る。捕まえるとキチキチと
なく。カミキリムシの類のようである。
五六月頃に菊の苗に
着テ津液
*7を吸う。
苗の頭は縮み、弱る。形
は小さいが、菊には、
おおいに、害をなす。