千虫譜ウィキ - 原本A2-55


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
柳木蠹 四月十六日
小児炙食フ味蘡薁カマエビノ虫二同ジ此虫
汁ニテ寒ノ胭腈ベニヲトキ眼ニ滴入スレハ
痘毒ノ目ニ入タルニ妙ナリ又咽上ニ
塗レハ痘其処ヘ発ト云

(右頁下段)
(ケンポナシ){枳椇}蠹虫 六月
領如蝤蠐

(左頁)
蛞蝓 安永八年十月
山中ノ人薑醋ヲ
以テ浸シ食
フト云山
ナマコト

書き下し

現代語訳

柳木蠹 四月十六日
小児が炙って食べる。味は蘡薁カマエビ*1の虫と同じ。この虫の
汁で寒ノ胭腈ベニ*2を溶いて眼に滴下すると、
痘毒*3の目に入った症状に絶妙な効果がある。 また咽の上に
塗れば、痘がその処ヘ発すると云。*4

(右頁下段)
(ケンポナシ){枳椇}蠹虫 六月
頭は、スクモムシ*5様である。

(左頁)
蛞蝓 安永八*6年十月
山中の人は薑醋*7
浸し食
べるという。山
ナマコと
いう

備考

蛞蝓の項で、生姜酢につけてナメクジを食べるという記載があるが、
ナメクジやカタツムリには広東住血線虫という寄生虫がいるので
決して生食しないように。触った後もよく手を洗おう。