(右頁)
ハチに羽化しようとする前に、エビヅルの殻は腐って、穴が一つあり、その穴から
蛹が半分でかかって、殻を残してハチに羽化して出る。其気
自ら貫通して、自ら腐って穴をなす
か、わからない。神の造りの不思議が
あるのではないか。
右ノ蘡薁虫は五月末に𧏡蜟
*1に
なったのを、西城 御前で
頂戴したのを飼う事、二十日ほどして、黒い蜂になった。普通の
ハチと違って、腰は細くなく、形は小さくぶとう
*2
刺す事を事を解するのか、試みない。蜂に羽化したのは、六月土
用入の時である。
去年、小半年も。紙に包んで箱の中に貯めて
おいて、忘れていたのを探して出してみると、まだ生きており、
落ち着いていた、たいへん強い生命力である。
庚申
*3五月十一日蛹から、脱皮して、出てきたのは、図のような物である。羽をビリビリ
と動かす。羽に粉があって、蛾のようである。形はハチと異なる事はない。羽
はよく開かず又蜂二似ている。刺す事はしない。また、歩くのみで、飛ばない。
(右頁下段)
このハチが、出ようとする前
にエビヅルの皮の上に
自然と穴が開く
を見る。この蛾食い
破ることをしないから、
みずから出ることは、自然
の神秘というべきだ。これは
理の外の事して、
不可思議な事と云
べきだ。人々は、これを、
自ら、詳しく
飼ってこの神秘を
知るべきだ
*4
文化丁丑
*5七月写図
(左頁右上)
蠐螬 スクモムシ ハキダメムシ
ニウドウムシ
チャウチンムシ
(左頁右下)
生長すると、カブトムシになる。両の牙は鋭く
ムカデのようで、カブトムシ
にているヒゲがある。俗にハキダメゲンゴロウとも
いう。
(左頁左)
この者背で行ク少し見
ない内に、ずいぶん行くのが、
はやい。飼い試みると、サイカチ虫に、カイコヽロムルニサイカチ虫ニ
なったという。同僚河埜良以
*6自分で飼ってみたと語った。甲州
*7ではノケサと
いう。あおのけになって走り去るという事の省略したのだ。賤しい身分の方言といえども、褒め称えるべき