千虫譜ウィキ - 原本A2-8


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
壁銭
ヒラグモ
ヒラタグモ

蝿虎
ハイトリグモ

(右頁下段)
八方グモ 其脚ノ尖リ四
方六方へサスニ異ナアリ此
クモノ脚正ク八方ヘサス

(左頁上段)
ベツカツカウ
毒アル蜘蛛ナリ八脚ヲ二本ツヽ
四方ヘヒロゲ小児戯ニ両手ニテ眼
口ヲ張リ開キ人ヲ嚇ス状二似タ
リ因テ此俗
名アリ

(左頁下段
大嶋グモ

書き下し

現代語訳

壁銭
ヒラグモ
ヒラタグモ

蝿虎
ハイトリグモ

(右頁下段)
八方グモ 其の脚のとがり四
方六方向へ指すのと異なり、この 
クモの脚は正しく八方向をさしている。 

(左頁上段)
ベッカッコウ
毒のあるクモである。足を二本ずつ
四方向へ広げて、子供が遊びで両手で目と 
口を引っ張って開き人を驚かすのに似ている。 
そのため、この
俗名がある。

(左頁下段)
大嶋グモ

備考

ここに描かれているクモは5種
ヒラタグモには壁銭の字があてられているので、
おそらく壁に銭状の巣を張るヒラタグモの一種で
間違いないだろう。ヒラタグモが様々な方向から四つ描かれている。

ハイトリグモは、ハエトリグモの一種に違いないが、ハエトリグモの種類は
著しく多いので、編者にはわからない。専門家の意見を待ちたい。
背中に白い筋の入ったクモが、ハエトリグモであると考えられる。
五つのハエトリグモの絵と、ハエが描かれている。

八方クモ、ベッカッコウ、大嶋グモは不詳。専門家の意見を待ちたい。

なお、ベッカッコウは、今でいう「あっかんべー」にあたる。
夏目漱石の「坊っちゃん」には、「人差し指でべっかんこうをして見せた」
という記述がある。(編者未確認)
当時は両手を使って、目と口両方を引っ張って見せた。