(右頁)
閩書南産志
*1には海膽の殻は円く茶碗の様で、刺を密に生やして、内側に黄色いジェルがある。地元の人はそれを
調味料にする。舊志
*2では石榼があり、注が言うには、形が円く紫色の刺がある。人がこれに触ると、刺を動かすというから
海膽はその異其名であると思う。その仲間は数品あり、ホシカブトと称するのは、■
*3く角コ
ウバシという。普通の物の刺を貝の仲間に入れて、香箸貝という。ここに描いた
長い刺は七八寸
*4のものは、殻がかえって小さく、珍しいものとすべきだ。左に図したもの
の太い角カブ■
*5シは、質が磁器のようで、てのひらの上にニ三個を置いて転がし
動かす時はチンチンと、金属の音を鳴らす出す事もまた、珍しい事である。
蝦夷地方
*6の海岸の石の上波打ち際にあり、方言でノナと言う。多く、これがある
所をノナマイと言う。これは地名である。形は同じで、細かい刺を生し、十何であると、
言う。国、所によって、これを、ガゼと言う。この殻を割ってウニを
とる。俗に、雲丹と言って、流通する。海沿いの諸大名から献上されるものはこれである。
(左頁上段)
大香箸雲丹の様子、殻について
いる刺は、石英
*7の様に生えている。
海外の本ラリテイト
*8にこの
図が出ていたので、ここに写して、後の
人の役に立つようにする。
薩州徳之嶋土名 グン ジヤン アツミ
大嶋土名 カアツー
(左頁下段)
同僚の渋江長
伯
*9駿遠
*10の薬剤採集
の時に、自ら観て図
したもの。
暗い赤色で、柔らかい刺が密に
生えていて、ひじょうに珍しい品
である、。これは時があって、硬い
刺が落ちたあと、柔軟にして
新しい刺がさらに生え、日増しに長くなり、ついに
極まり、硬い刺となる物である。