千虫譜ウィキ - 原本A3-12


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
タイコウチ 全身薄扁而如木葉
      然至硬
エビムシ 鹹水池塘ニ産ス全身浅■褐色ニ〆背透徹ス
尾ハエビノ如クニ〆
セマク重ナル形
小ナルモノハ色黒
シ此モノ三月上旬

蝦鱉虫ノ背破レテ蜻
蛉出レハ其残殻如此

水蠆脱殻

(左頁上段)
鱠残魚ノ内ニ交リテアリ紙菜アオサナドニ
付小虫ニ〆生活スルモノ甕器ノ内ニ水ヲ盛
テ其内ニ入レバ
走ル事ハヤシ
ワレカラノ如ク
ニ〆大ナルモノナルベシ

負子大阪ニテヒルメシモチト云江戸ニテ
カツパト云甲ノ上白子ヲ負フ事図ノ如
シ 下野方言オコシウリト云
ニ白キ子ヲウミ付ル形ヲコシ
米ノ如シ
故ニ此
名アリ

(左頁中段)
身硬ク尾上高ク稜アリ

五月の頃甲上

(左頁下段)
水蠆 一種ヤガラムシ
コノモノ鲫金魚ノ
害ヲナス又水黽ト
戦テヨク水ヘ沉メ
テ後ニクラフ殊

更ニ小魚ニハ害ヲ
ナスモノナリ石上ニ背ヲ曝〆高
ク飛行ス

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
タイコウチ 全身は薄くひらたく木の葉のようで、
      硬い
エビムシ 塩水の池どてでとれる。浅■*1褐色で背は透き通る。
尾はエビのようで、 
せまく重なる。形が 
ちいさいものは、色が黒い 
これは、三月上旬

蝦鱉虫*2の背が破れてトンボ 
がでたその残った殻はこのようなものである。

水蠆*3の脱皮した殻

(左頁上段)
鱠残魚*4の中にまじっていた。アオサなどに
つく小さな虫で、生活するものである。甕の中に水をいれて
其内にいれれば、
素早く走る。
ワレカラのようで
その、大きいものである。

負子 大阪ではヒルメシモチと云江戸では
カッパという。こうらの上の白子を負うのは図の通りである。
下野方言*5オコシウリという
のは、白い子を産みつける姿がオコシ
米のようである
ために、この
名がある。

(左頁中段)
身が硬く尾は上に高く角がある。

五月の頃甲上*6

(左頁下段)
水蠆*7の一種ヤガラムシ
このもの、金魚に 
害をなす。又水黽*8
戦って、よく水へ沈めて 
後に食べる。

特に、小魚ニハ害をなすものである。
石の上に背をさらして
高く飛ぶ。

備考

簡易なコオイムシと、ヤゴの一種B本に見当たらず。見つけたら連絡をよろしく