千虫譜ウィキ - 原本A3-13


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
孫太郎虫 乾枯者
奥州𦫿田郡越河コスゴウ
流水中ニテ得処ノモノ
春月アリ小児ニ
炙食ハシメテ
疳ヲ治ス水
中大石下ニ
居此石蚕
ナリ一名
石下新
婦ト云

水蠆 和名ヤマゴト云モノ之七修類稾ニ
蝦鱉虫ト云モノ是也五月王子瀧ノ
川ニテ得之其脱セント欲スル前ニ水中
ヨリ涯江上り背破テ馬大頭■化ス高
飛ス馬大 頭ハ蜻蛉ノ最モ
大ナル者 俗ニ鬼ヤンマ
ト云 モノナリ

(左頁)
其脱ノ前先㖨ノ皮を落ス
面形ノ如シ図スル処是ナリ

書き下し

現代語訳

孫太郎虫 干し枯れた者
奥州*1𦫿田郡越河コスゴウ村の
流水中において、得たものである。
春月にとれる。小児に
あぶって食べさせれば、
*2を治す水
中で大石の下に
居る。これは石蚕
である。一名
石下新
婦という

水蠆 和名ヤマゴというもの、これは七修類稾*3
蝦鱉虫というものが、これである。五月王子瀧の
川でこれを得る。脱皮しようとする前に水中
から、涯へ上り背中が破れて馬大頭*4*5化す。高く
飛ぶ。馬大 頭は蜻蛉*6のもっとも
大きいもの、俗に鬼ヤンマ
というものである。

(左頁)
その脱皮の前、先㖨*7の皮を落とす。
面形のようである。図したのはこれである。

備考

ヤゴB本に見当たらず