千虫譜ウィキ - 原本A3-18


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
□□の天子をはしめ月□雲客一遵の□□□□を
なかし帆を漂泊の浪に□かせて豊前国柳か浦に□
せおたひてしはヽは黒雲襟をやすめかひしかは官軍
一先安堵のおもひ□□せり斯□□□ニ三月廿ニ日
とかや思ハさるに□□義経兵船数千に□押寄せ
幡旗を春風にひるかへし矢を射る事雨のことし
櫓械の□□□□にふるはし□波の声海底を響か
すされは兵は凶□武は□□とそいへとも玉土に身をよせし
武士よりもなさけなくも先帝の御□□天子の□□□
はヽから□七重八重に打かこむ官軍今を限りと防戦
すといへども天運□々にしてたちまち打ち負け女□い
けと□れ□ひしかは今は是まてと二位の禅尼進
ミ□安徳天皇八歳の若君を招にいたき奉り右の手に

(左頁)
宝剣□□もち海底にとひ入るへは□□る官千司平氏
の公達一族も一つ□□に身を沈め□の泡立時の□耳消
へみ姿もなき□す寄来る浪も名残なり夫のる官
此蟹と化生する事いかなれは□□□路の戦に七□
は御□たて□□□□□の恨み消やらつ弘誓の□耳
□たされ随縁□□の□起之八苦の海にしつみ煩悩
の波□に□ひくる□の魂魄天□にかへるをあたわは
す□に□底に流□してよる所なき□□虫と化し
て此蟹とな□るものか今是姿を見しよりも□
のあはれよ袖ぬれ□

 過し世の哀れよ沈む君が名□とどめおきぬるつ門司もしの□守

 よるへなき身は今蟹と生れ来て浪のあはれにしつむ
                   はかなき

書き下し

現代語訳

備考