千虫譜ウィキ - 原本A3-20


原本B

生物情報

翻刻

(左頁上段)
ホウニ種 
 手觸則有青気

(左頁中段)
椿象 臭椿上ニ生ス其
 虫ニ微シク觸レハ青気ア
 リ久シクシテ去ラズ草果
 新ニ剉〆ル臭気ニ似テコレ
 ヨリモ酷烈ナリ草果集
 解ニ其気如斑螫ト云ハ此
 モノヲ指テ云ナルベシ

(左頁下段)
ホウ ホウヅキニ付ク因
 テ酸漿ヲホウヅキと云
 ト大和本草ニ云ヘリ筑紫
 ノ方言ナリ東都ニテハ
 ハンニウ カウラムシナドヽ
 云フモノナリ

(左頁左端)
帝京景物略云有虫鼈身象鼻而具也大如朱櫻曰
椿象生臭椿上臭不可觸者是

書き下し

現代語訳

(左頁上段)
ホウニ種 
 手でふれれば、青臭い匂いがする。

(左頁中段)
椿象 臭椿*1に生息する。その
 虫にすこしさわれば、青臭い匂いがあ
 り長い間消えない。草果*2
 新に刻む匂いに似て、これ
 よりも、きつい。 ヨリモ酷烈ナリ草果集
 解*3にその匂い、斑螫*4のようだというのは、この
 虫をさしていうであろう。

(左頁下段)
ホウ ホウズキにつくので、
 酸漿*5をホウヅキという
 と大和本草*6ではいっている。筑紫*7
 の方言である。東都*8では
 ハンニウ カウラムシナドヽ
 いうものである。

(左頁左端)
帝京景物略*9に、亀のような身に象のような鼻を持つ虫がいるというのはこれである。 大如朱櫻*10
臭椿に生ずる椿象*11はこれに触るべからず。

備考