千虫譜ウィキ - 原本A3-21


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
未八月九日ホウノ類形鈴虫ニ似テホソシ不臭
前ノ二足ノミフトク黒シ

カフラムシ ホウ
カタギヌカケ
會津方言バイブクリン
凢悪臭アリ忌嫌フ
ベキモノヲモ又此名
ヲ唱フト云

(左頁上段)
一種異品
ホウノ類背上一角アリ

(左頁上段)
椿象 脚高シヨクシリヘヒサル
 嘴長ク内ヘ折テ背ヨリミヘズ蝉
 ノ嘴ノ如シ青気アリ至テ臭シ

(左頁下段)
ホウノ類大毒虫ナリ毒荏ドクエ木ノ葉ヲ食フ虫也惣
身堅ク甲アリ朱色丹色ノ二種アリ黒キ処ハ尽ク
紺青又ハ紫ニ光美ナリ其
毒斑猫ヨリ峻烈ナリ

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
未八月九日カメムシの類だが、鈴虫に似てほそく、匂いはない。 
前の二足のみ足が太く黒い。

カフラムシ ホウ
カタギヌカケ
会津*1方言バイブクリン
悪臭があり、忌み嫌う
べきものもまた、この名
を唱えるという。*2

(左頁上段)
一種異品
カメムシの類で、背の上に角が一つある。

(左頁上段)
椿象 脚がたかく、よく後ろにさがる。
 嘴が長く内側に折りたたんでいて背中からはみえない。セミ
 の嘴のようである。青臭い匂いがあり、大変くさい。

(左頁下段)
カメムシの類で大毒虫である。 ノ類大毒虫ナリ毒荏ドクエ*3木ノ葉を食う虫である。全
身に硬い甲があり朱色と丹色*4の二種がある。黒いところはすべて
紺青または、紫に光り、美しい。その
毒は斑猫*5より、激しいく強烈である。

備考