千虫譜ウィキ - 原本A3-27


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上段)
マメザコ
鼠婦一種
筑後柳川産
人觸ル時ハ渾円
丸薬ノ如クナル

(右頁下段)
水蚤 和名トビムシ
蚤ノ如ク跳ル下湿ノ地に生ス。夜光リアリ
テ蛍火ノ如シ又水中ニモ生ス糠蝦アミニ交
生ス又、鹹水ニモ生ス海苔ニ
ツク大小色アイハ違へ
共形状ハ一様ナリ

(右頁上段)
丸薬虫湿地ニ生ス鼠
婦ノ一種ナリ人手ニテ觸
ルレハ丸ク合目
モナキカ如シ
堅ク〆丸薬ノ
如シ因テ名ツク
又塩ノサス池中
ニモアリ小エビニ交ル
モノワレカラト云

枸杞ノ葉ニツク虫
葉上ニアリ黒刺アリ小豆半粒ノ大
サナリ顕微鏡ヲ
以テ写ス此モノ
枝上ニ粘着ノ不
動日ヲ経テ羽
化ノ虫トナリテ飛
行ス

(左頁下段)
トケ々ムシ  ゴミカツキ
右二虫大サ胡麻子ホドアリ虫メカ子ニカケテ写ス
癸未八月十二日

身ニ疣アリ
長キ細毛ヒ
シトアリテチ
リヲ身
ニ□(草冠に㪣)テ
虫ノ形ニモミヘ
ヌホトナリ

書き下し

現代語訳

(右頁上段)
マメザコ
鼠婦*1の一種
筑後*2柳川産
人がさわると、まん丸の
丸薬のようになる。

(右頁下段)
水蚤 和名トビムシ
蚤のようにはねる。じめじめした地にいる。夜に光っ
て蛍の光のようである。又、水中にもいる。アミに混ざって
いる。また、塩水にもいる。海苔に
ついていて、大小色あいは違うけれども
形状は同じである。

(右頁上段)
丸薬虫。湿地にいる鼠
*3の一種である。手でさわる
とまるく、あわせめ
もないかのようだ。
かたく、丸薬の 
ようだ。ちなんで名がついた。
また、海水の流れ込む池の中
にもいる。小エビに交じる
ものをワレカラ*4という。

枸杞*5の葉につく虫
葉上にいて、黒い刺があり、小豆粒の半分くらいのおおき
さである。顕微鏡を
使って、うつした。この虫
枝の上に粘着して、
動かなくなり、日をへて羽
化の虫となって飛ぶ。

(左頁下段)
トゲトゲムシ  ゴミカツキ
右の二匹の虫は大きさ胡麻粒ほどで、虫眼鏡にかけて写した。
癸未*6八月十二日

身にイボがある。 ニ疣アリ
長く細い毛が 長キ細毛ヒ
びっしりとあって、
チリを身に
□(草冠に㪣)て*7
虫の形にも見え 
ないほどである。

備考

ゴミカツギB本に見つからず