千虫譜ウィキ - 原本A3-3


原本B

生物情報

翻刻

(上段)
スナヘソ
海濱浅水ノ處ニ生ス
肉ハ沙中ニ入ル
上ニ鬚水ニユ
ラレテ藻ノ
如シ小虫其
内ニ入レハ
巻込テ食
フ俗ニイノ
シリ又シリゴダ
マト云モノヽ類


(下段)
此物人ノ足音ヲ聞ハ忽チ沙
中ヘ縮入ル砂ヲ掘リテ一塊ヲ
得土■ノ如シナマコノ臭気
アリ形臍ノ如シ因テ此名ア
リ松前ヱトモ ミツイシ
コンブムイト云処ニ多シ鬚
ヲ開ケハ花ノ如美也

書き下し

現代語訳

スナヘソ
浜辺の浅いところにいる。
肉は砂の中にはいっていて 
上にヒゲを水に上ニ鬚水ニユ
ゆらせて、藻の 
ようである。小虫がその 
内側に入ると、 
巻き込んで食べ 
る。俗に、イノシリ
また、シリゴダマ
と云ものの、類
である。

(下段)
この物人の足音を聞けば、たちまち砂の中へ 
縮んで潜る。砂を掘って一塊を
える。土■*1のようである。ナマコの臭い
がある。形はヘソのようである。ちなんで、この名があ
る。松前では、ヱトモ ミツイシ
コンブムイという処に多い。鬚
開くと、花の様で、美しい。

備考