千虫譜ウィキ - 原本A3-35


原本B

生物情報

翻刻

索スルニ及ヘカラズ 本邦産物ノ一ニ〆栄トスルモノナリ海参ニ煮
法アリ法ヲ失へハ堅靭食ニ不堪味モ又美ナラズ其法水ニ浸ス事一
夜白湯ニテ一時煮又一夜水ニ浸シ又一時煮カタスレハ筋ニテ挟切
レルホドニナルヲ下汁ヘ入レ煮味ツクホド煮用ユ又又(赤字重字)一法柔煮アリ銅
壺ノヌルマ湯ニ浸す事一夜翌朝一升ノ湯中ヘ糠一握入レ煮ル事
一時短日ナラハ二時是ニテ味ツケ煮ナリ

書き下し

現代語訳

細かく探るにおよばない。 本国の産物の一つにして、栄えをもたらしたものであるナマコには煮る
方法がある。方法を間違えば、硬く食べられない。味もまたおいしくない。その方法は水に浸す事一
夜、お湯で、一時*1煮て、又一夜水に浸し、又一時煮かたすれ*2、筋で挟んで切
れるくらいになったのを、下味へ入れ煮て味がつく程度に煮て用いる。また、もう一つの方法に柔煮がある。銅の
壺にぬるま湯に浸す事、一晩。翌朝一升の湯の中に、糠を一握り入れて煮る事
一時、短い日ならば、二時にこれで味つけ煮である。

備考