千虫譜ウィキ - 原本A3-38


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
第四  第五

科斗 カヘルコ オタマジヤクシ

(左頁)
山蛤 アカヾヘル 西国アカヒキ
左ノ図ノ如キ至テ赤キモノハ世ニ稀ナリ
冬月暖所土窖中ニ入寒ヲ凌ク偶山野暖所土中ヨリ厳寒ノ節冬蟄ノモノ
ヲ堀出ス事アリ如是鮮紅ニ〆琉朱色ノモノヲ得ル事アリ味更ニ美ニ〆其効モ殊ニ
優レリ頭上眼ヨリ下リテ人字紋印ノ如
クアルモノ別テ良薬ニスルニ最上ノ品ナリ

書き下し

現代語訳

(右頁)
第四  第五

科斗 カヘルコ オタマジヤクシ

(左頁)
山蛤 アカガヘル 西国ではアカヒキ
左の図のような、たいへんあかいものは、世にも稀ある。
冬に温かい所の土の孔の中に入って、寒さをしのぐ。偶山野の暖所の土中から厳寒期の冬眠しているもの
を掘り出した事がある。このように、鮮やかな紅色で、琉朱色*1のものを得る事があった。味は特においしく、その薬効も特に
優れている。頭上の目から下にかけて、文字のような文様が
ある物はわけても、よい薬にするのに、最上のものである。

備考