千虫譜ウィキ - 原本A3-45


原本B

生物情報

翻刻

(右頁上)
墨客揮犀云有虫状蝉形小而匾好隠於屋壁
及書策中前有両長足如蟹螫觸後則旁行觸
前却行有鄭秀才戯以手指再三撥之欲観其行
忽為所螫痛臥数日遇良毉治之愈毉云此名
悪颯不治殺人
案ルニ下ニ図スル処右ニ所謂悪颯ナルベシアトビサリ
ノ名砂捊子ト同名ナレ共実ハ砂捊子ノ類ニ非ス
別ニ一種ノ小虫ナリ

アトビサリ
砂捊子一種ノモノ陳久薬
中偶有之シミト同シ形至小
観ルニ不耐依テ顕微鏡ヲ以
テ写之

(右頁下段)
悪颯 大サ此トオリ

(左頁)
当帰ノ虫 怒則生角
有臭気与橘蠹彷彿又
芎藭白芷藁本及懐(草冠+懐)
香蒔蒔蘿等蠹虫倶皆
同物也

書き下し

墨客揮犀*1がいうには、セミににて、形は小さく平らで、屋敷の壁や
書䇿*2の中にいて、蟹のような長い日本の足が前にあり刺す。後ろを触れば水平動き、
前を触れば、後ずさる。有鄭秀才戯*3手指でもって、その行動をみようとなんどもこれをはらっていると、
すぐに、刺された痛みのせいで、数日床に臥す。たまたま良い呪術医がこれを治す。呪術医がいうには、この名は
悪颯治らなければ人を殺す。
おもうに、下に図するところ右に、いわゆる悪颯であろう。アトビサリ
の名、砂捊子と同名であるけれども、実は砂捊子の類ではない。
別の一種の小虫である。*4

アトビサリ
砂捊子、一種のもの。陳久薬
中 たまたま、これがいた。形はシミと同じで、とても小さいので、
観るのがむずかしい。なので顕微鏡をつかって
これをうつした。

(右頁下段)
悪颯 大きさこの通り

(左頁)
当帰*5ノ虫 怒ると角を生やす
柑橘類の虫*6に似た匂いがある。また
芎藭*7白芷*8藁本*9及懐(草冠+懐)
*10蒔蘿*11などの虫、みな
同じものを持っているものである。

現代語訳

備考