千虫譜ウィキ - 原本A3-6


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
海燕 越中魚名浦之産
 方言イトマキ

蝦夷産形五稜儷如槭樹葉因俗云紅
葉介
福州府志云楓葉魚海物異名記
云楓樹霜葉風飄
浪翻腐如蛍化其質為魚 哲按スル
ニ疑ラクハ此
モノ乎

(左頁)
臺湾府志所謂海蒜一名湖賢状類
蛤肉垂三寸餘白色上有黒点形状甚
劣食之多患腹泻云々倘
此モノ乎

スナヘソ
東都ニテシリゴダマト云
モノヽ類浅水ノ処ニアリテ鬚ヲ出ス
菊花ノ如し痔并脱肛ヲ治ト云

越前魚名浦之産イ
トマキノ小ナル者

書き下し

現代語訳

海燕 越中*1魚名浦之産
 方言イトマキ

蝦夷*2産のもの、形は五つ稜の尖りが並び、楓の葉のようなので、俗に¥紅
葉介
福州府志*3云楓葉魚海物異名記*4
云楓樹霜葉風飄
浪翻腐如蛍化其質為魚*5 道理に沿って考えるに、
疑うらくは、この
物か

(左頁)
臺湾府志*6いわゆる海蒜一名湖賢。状類
蛤肉垂三寸餘*7白色で上に、黒点がある。形は甚だ
劣っていて、これを多食すると、下痢をするうんぬん。
この物ではないだろうか

スナヘソ
東都ではシリゴダマという
物の類。浅水の処にいて、鬚を出すと
菊花のようである。痔ならびに脱肛を治すという。

越前*8魚名浦の産イ
トマキの小さな物。

備考

多食すると腹を壊すという事で、台湾の一部では
当時この種のイソギンチャクを食べる習慣があったのだろう。
日本にもわずかな地方に残っている。