千虫譜ウィキ - 原本A3-62


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
剉薬ヲ綴リ巣ヲ作リ蓑虫ニ似タリ頭ニ触レハ尾ノ方ヘ訇テ疾シ何薬
ト云事ナク湿ヨリ生ス牛肉等ニモ生ス凡乾タルモノニ生ス
後蛹トナリ小蛾トナリテ飛去

米蛆 フケ米ニ生スル
   白虫ナリ
冬春ウグ井ヲ釣ルニ此モノヲ用ユルニ
宜シト云フ
形平タク虫目ガ子ニテ見レ
ハ白毛アラ々
トアリ

(左頁)
神麹ノ虫孔ヲナシテ肉ヲ空ニス羽アリ能飛フ

諸薬ニ付ク虫 羽アリ飛フ連肉澤泻
等ノ剉薬ニ生ス

赤小豆ノ虫 孔ヲナシテ空ニス湿ヲ含メハ
      自然ト内ニ生ス羽アリ飛ブ

書き下し

現代語訳

(右頁)
剉薬*1をつづり、巣を作り蓑虫に似ている。頭にさわると尾の方へ訇て*2速い。何の薬
という事ナク、湿ったところに湧く。牛肉等にも生じる。およそ乾いた物に生ずる。
後に蛹になり、小蛾となって飛び去る。

米蛆 ふけ米*3に生じる
   白虫ナリ
冬春ウグイを釣るのに、このものを用いると
よいという。
形は平たく、虫眼鏡で見ると、
白い毛があらあらしく
はえていた。

(左頁)
神麹の虫。孔をなして、肉を空にする。羽が有りよく飛ぶ。

諸薬につく虫。羽が有り飛ぶ。蓮肉*4澤泻*5
等の剉薬に生ずる。

赤小豆の虫 孔をあけて、空にする。湿気を含むと、
      自然と内に湧く。羽があり、飛ぶ。

備考

どの虫も小さく、食性から推定する以外
ほぼ同定は難しいと考えられる…