千虫譜ウィキ - 原本A3-72


原本B

生物情報

翻刻

(右頁)
紡績娘 クツワムシ 赤青褐ノ三種アリ
其盛ニ啼トキ翼ヲ
動シ薄暮ヨリ夜中
索々ト〆声ヲナス事
連綿不止極テカマ
ビスシ因テ唐山ノ人
聒々兒ト云
麻蚱和名久都倭
武之此虫状尤雄偉
類蝗肥大茶褐色声
亦雄壮鳴自仲
夏至秋末暖
地者霜降之
時尚有声蓋
秋虫中健者
也園有此虫
虫吟皆奪不宜

(左頁)
近聞或放之遠樹任其未去點綴秋声亦雅
事耳見于李笠翁画傳
 右寒泉著秋虫考
同右雄者尾縮無
刺能鳴終夜不止
七月八月盛出

越後産
方言サヽムシ
又竹虫𪜈

書き下し

現代語訳

(右頁)
紡績娘 クツワムシ 赤、青、褐の三種がいる。
その盛んに鳴く時は羽を
動かし、薄暗い暮れから夜中
索々として声をだすのは
つづいてやまない。たいへん
やかましい。それにちなんで、中国の人は
聒々兒*1という。
麻蚱和名はクツワ久都倭
武之*2この虫はようすは最も立派である
イナゴの類で大きく茶褐色で声
もまた雄壮で鳴鳴自仲
夏至秋末*3あたたかい
所のものは霜がおりても、これは
時になお声がある。まさしく
秋虫の中で丈夫なものである。
園にこの虫がいると、
ほかの虫吟*4がみな聞こえないのでよろしくない。

(左頁)
近くで聞くか或いは、これを遠くの木に放る任其未去點綴秋声亦雅*5
事耳見于。李笠翁画傳*6
 右寒泉著*7秋虫考
同右雄は尾が縮んで無い。
刺す事はできない。鳴く事、終夜やまない。
七月八月さかんに出る。

越後産
方言ササムシ
又竹虫𪜈

備考

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