千虫譜ウィキ - 原本A3-79


原本B

生物情報

翻刻

ふ蛬晩蜩□ろの□□の中に分て我思ふ松虫乃聲リン〱
リン〱として秋の聲めい〱すか
野の宮のうたひに云誰松虫の聲はリン〱として風はう
〱たる野の宮の夜すから
鳥丸光広以□□□□の□付云松虫は松の□鈴
虫は鈴ふる音なりしかるを近代あやまりたるよし
□歌なとにも□事□
小窓雑筆云或出云おもしろき物もかる〱と見聞はおもし
ろからす世にリン〱と啼は鈴虫と言う鈴虫を松虫と
いふか□る僻耳也ある松風のちんちちろりんと啼へきようなく
鈴のリンとのみは聞へかたし 弘賢い曰くこの□説及び□□□に引る□□
              翁と□□□□□の□□によれは源
              氏物語の頃より□正の頃まてはチンチロリンとなくを鈴虫といひたる事あきら
              けし京都まては聞も此通りなり諸国まてはおほく古名をとなへまれには
              京都のとくにふ所も
              ましわれり
詩歌
松虫をよめるうた 古今和歌集感第四 秋上
題しらす よみ人しらす
きみしのふくさにやつるるふるさとはまつむしのねそかなしかりたる
秋のゝに道もまといぬまつむしのこゑするかたにやとやからまし
秋の野に人まつむしの聲すなりわれかとゆきていさとふらはん
もみち葉のちりてつもれるわかやとにたれをまつむしこヽら
                       なくらん
玉葉和歌集巻十二 恋哥 四
題しらす 貫之
夕されは人まつむしのなくなへにひとりある身そをき
                     所なき
拾遺和歌集巻第三 秋
題しらす よみ人しらす
ちきり□んほとやすきぬる秋の野に人まつむしのこえのたへせぬ
とふ人もいまはあらしのやまかせに人まつむしの聲のかなしき

書き下し

現代語訳

備考