千虫譜ウィキ - 原本B1-19


原本A

生物情報

ニホンミツバチ

翻刻

ニ開巻第一ニ此物ヲ図シテ其功徳ヲ述記シテ其神霊不測ノ妙アル事ヲ弘ク人ニ示スノミ
*1涛集明高皇微行至田舎見一村翁問其生庚翁云年月日時皆與高皇同高皇曰
尔有子乎曰無有田産乎曰無高皇曰然則何以自給曰吾養蜂耳曰尔蜂幾何曰十五桶高
皇黙然我有京省渠有蜂桶㪣*2此年月日時相合之符又問尔於蜂歳割蜜幾次翁曰
春夏花多蜂易釆*3来蜜不
不难結毎月割之秋以後
花漸少故菊花蜜不尽
割々十ニ三留其七*4聴蜂自
啖為卒歳計我以春夏
所割蜜易銭帛米栗
量入為出以糊其口而蜂
有餘蜜得以不飽明歳
又復醸蜜我行年五十
而□蜂以飽他養蜂者

不然春夏割之即秋亦
尽割之無餘蜜故蜂多
死今年有蜜明年無
蜜皆無我若也高皇歎
曰民猶蜂也上不務休養
竭沢取之民安得不貧
以死民死而税安従出是
亦不留餘蜜
是類也蜂丈
人之言可以為養民者法也
蜜蜂ノ巣ハ竪ニ立テ結其間ニシキリノ柱ト云テツナキアリコゝニハ取テ
横ヨリミタル図ナリ新ニ構ル巣ハ白シ黄ナルキミヲ帯ブ未タミツヲツメ
サルヲ空巣ト云蜜ヲステニ
ツメタルヲ飴巣アメスト云両面ヨリ蜜ヲツメルモノナリ
一年程経タル巣ハカバ色ニ変ス蝋ヲ製スレバ新巣
ハ色白ク中ハ微黄ヲ帯ヒ久年ノ者ハ老乕カバ色ニナルナリ

書き下し

現代語訳

開巻第一にこの蜂を描いてその功績を記述して
その、神や霊の計り知れない技がある事を広く人に示したのである。

漢文翻訳中

ミツバチは巣を縦に立て結ぶ。その間にしきりの柱というつなぎがある。これは取って
横から見た図である。新しく作った巣は白く黄なる気味を帯びる。まだ蜜を詰めていない
のを空巣と云。蜜をすでに詰めた巣を飴巣という。両面から蜜をつめたものである。
一年ほど経た巣はカバ色に変色する。蝋を作る時、新巣は色が白く中はほんの少し
黄色を帯びる。長い年月を経たものはカバ色*5になる。

備考

「千虫譜」の写しは多く乱丁も多いが、「開巻第一に〜記述して」等の記述から、
蜜蜂に関する記載が本来の「千虫譜」の巻頭にくるのは確かだろう。