はならない。そういう訳で、この不思議なことをしり、
この虫譜の巻の初めに載せて広く人にしらせたいと思う所である。
蜜蝋は蜜蜂の巣から採った蝋である。新しい巣は色が白く、白蝋となる。
年を経て色黄色になる。さらに年を経た物はカバ色になる。採る方法は
まず手で砕き、銅鍋に水を同じくらいに入れ弱火で煮て箸で混ぜれば
巣はみなとける。別の釉薬のかかった磁器に冷水を入れて置き、
馬毛籮*2を使って置いてあった冷水に
漉しいれると蝋は水の上に固まり浮く。それをすくいとって
薬
*3のかかった磁器に入、湯煎にすれば一塊になる。
できものに塗り薬として加えるものである。
西欧の書がいうには、オランダ語でワス(was)ラテン語でセーラ(sara)という。
セイラアルハ言うものは新しく若蜂が作る巣をとったの物言う。アルハ(alba)は
白色の意味である。オランダ語にセーラヒルギネア
*4というのは女蝋
*5の意味である。
人の手間をかけずに作り出すもので、「手いらず」の意味である。また人が手間をかけて
晒して黄色を白くする物が多い。これをラテン語ではセーラフラハという。
これは古い蜂の巣からとるものをさしていう。フラハ
*6とは黄色という事である。
患部が腫れて痛むのを取り除きたいならば、黄蝋を使うとよい。清潔に冷やしたい時は、白蝋を使う。
黄色はさまざまな硬膏
*7類に使い、白は
芳香軟膏*8
使う。また、蝋に様々な色を加えて封に使う。ガラス瓶の口を封じるものも作る。栓蝋という。
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