虫白蝋 和名イボタロウ
これはイボタという木につく虫の巣を熱して取る蝋だからだ。奥の会津
*1から多く取れる。
なので会津ロウともいう。イボタは水蝋樹である。背の低い灌木であり女貞
*2
田や野原の道端の境に短墻
*3。その山の中に生える物は樹枝に白い粉を多く厚くまとい、
綿のように色が白い。これはその虫の巣であって、爪でもめば、やわかくはげて取れるものである。
遠くから見ると樹枝に雪が積もっているように見える。俗にイボタの花というがそうではない。
花は別にある。たれた梢に小さい穂を出し、四枚の花びらを持つ小さな白い花があつまり生ずる。
夏の月に開き腐った木の臭いがある。又別に虫が多く着いてその葉を食うものは見ない。
只巣ばか(り――次ページへ続く