――前ぺーじより ば)かり見える。備後
*1では山オシロ
イ阿州
*2ではトバシリ、播州
*3ではトスベリトいう。
この虫の粉をとり障子のきしんで、動きにくい時つかえば、
勢いがよく、これが光と滑らかさを引き起こし、戸が動き走るので、この方言がある。
又イボをとるのに用いる。疣の根をきつく
縛っておいて、この蝋を一滴、熱してたらせば、イボがとれる。その為イ
ボタの名がある。イボトリが縮まったものである。この虫の巣を集めた
のを蝋滓という。袋へ入れて熱して漉し、冷水の中に入れると、蝋になる。再び
熱して磁器の入れ物に漉しいれて布で漉せば、真っ白で光沢があり、とても堅い。
割き開き、これを割ると
刷糸紋
*4が見える。これを虫白蝋といい、
元来できものに用いて、膏薬とするのは、皆、この蝋を用いるべきものだ。
唐山
*5では女貞樹
*6でこの虫を飼育する。故に、蝋樹という。
朱色を加えて練り、にせ珊瑚球とするものである。