栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい

追加された行はこの色です。
削除された行はこの色です。

&ref(https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/6cf3559b85f5296b.jpg,100%)
----
*原本B
|center:[[原本B1-20]]|center:[[原本B1-19]]|center:[[原本B1-18]]|
|[[&ref(https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/e91124bf6dbaf4b9-s.jpg)>https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/e91124bf6dbaf4b9.jpg]]|[[&ref(https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/c4b29a31e7844baa-s.jpg)>https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/c4b29a31e7844baa.jpg]]|[[&ref(https://image01.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/df860392aa01ce7d-s.jpg)>https://image01.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/df860392aa01ce7d.jpg]]|
*生物情報
ニホンミツバチ
*翻刻
皆左ノ方ヘ聚リヨル右ノ方巣ノアラハニ見ユルヤウニナルヲ截採ル
ニ労ナシ又左ノ方ヲ截ントスルモ前ノ如クニス群蜂怒リテ人ヲ趕又ハ螫ベキ
ト兼テ覚悟セシニ意外ニ穂((B本穏))平ニシテ尋常ノ蜂類トハ殊異ナリ其截ル
人衣ヲ腰ニ纏ヒ袒裼露躰ニシテ截断スルニイサゝカモ毒螫ノ患ナシ其人
云フ衣ノ間ニ蜂ノ入ルヲ押スカ痛ムル寸ハ遂ニ螫モノナリ人を螫寸ハ其
蜂立処ニ斃ス是ニヨリテ人ヲ螫ス事ヲ好マズト云懼ルゝニ不足モノナ
リ若螫レタリト虽モ他ノ蜂ノ如キ腫痛ハナキモノナリ其毒甚シ
キモノニ非スモシ螫ルゝモノハ直ニ生蜜ヲ塗ルベシ立ロニ其痛止腫
消シメ安シ
凡ソ普世通用スル丹圓ノ薬剤皆此蜂蜜ヲ練去滓製スル処ナ
リ天下人民此物ニ頼テ無類ノ好薬ヲ用ユル事ヲ得ル事ナリ世
人此物ノ裨益ヲ被ルモノ□テ数フヘカラズ去ナガラ蜜ハイカナ
ルモノナリト云事ヲ研究スルモノナシ只味ノ甘美ナルモノト云事
ヲ知ルノミナリ因リテコゝニ開巻第一ニ此物ヲ図シテ其功徳ヲ述
記シテ其神霊不測ノ妙アル事ヲ弘ク人ニ示スノミ
凡ソ蜂ニテ薬末ヲ練ントスルニ其侭ニテハ用ヒ難シ此ヲ練ル法アリ分
量ヲ糧リテ蜜ヲ陶器ニ入レ鍋ニ沸湯ヲワカシテ入レ&ruby(コエン){重湯}((?))ニテ煎シ
沸シ上ントスルトキ浮沫上に厚クナリタルヲ紙ニ浸シ竹&ruby(ヘラ){箆}ニテスクヒ去
リ其蜜ヲ冷水ニ滴テ珠ヲナシテ不散ヲ度トスコレニテ丹薬ヲ練リ
又壺ニ納メ貯ウベシ百六十匁ヲ練リ浮沫ヲ去リ百二十匁を得ベシ如
是スレバ年ヲ経テモ不壊トナリ
江都官家ニ蜂堂ヲ庭上ニ設テ蜜ヲ採テ戯トシ給フ事アリ堂内
部局ヲ構へ其上ノ奥所蜂王ノ座アリ群臣次第ニ列座シテ自然ニ官
職アルカ如シ下ニ聚花ノ会場アリ大窠ヲ綴ル是蜜ノ在處ナリ堂
ノ下辺ニ小竅並へ開テ五門ニ比ス其竅外ニ五員の蜂卒並坐シテ各門
ヲ守護ス来蜂ノ貢花ヲ監二辟蜂早晨ニ堂二出テ午時ニ花蕊及
ヲ守護ス来蜂ノ貢花ヲ監二辟蜂早晨ニ堂二出テ午時ニ花蘂及
精液ヲ含ミ来テ衛門ニ入ル時監蜂是ヲ検察シテ入ラシム若花
ヲ含マツシテ入来ルモノアレハ厳ク逐還シテ入レズ争ヒ拒ク者アレハ
*書き下し

*現代語訳
皆左の方へ集まる。右の方の巣が見えるようになったのを切り取るのは簡単である。
また左の方を切ろうとする時も同じようにする。群れた蜂が怒って人を追い回したり刺すだろうと
あらかじめ覚悟していたが、意外に穏やかで、普通の蜂の類とは全く違う。巣を切り取る人
は服を腰にまとって、上半身は服を脱いで肌をあらわにして切り取るのに、すこしも毒に刺される様子がない。
その人が言う事には「服の間に蜂が入ったのを押すか、痛めつけると、ようやく刺す。人を刺すと、
その蜂はたちまち死んでしまう。だから人を刺す事を好まないのだ」という事である。恐れるにたらない。
もし、刺されたたといっても、他の蜂のような腫痛はない。その毒も大したことはない。
もし刺された人はすぐに生蜜をぬるべきである。すぐに、その痛みは止まり腫れも
ひき楽になる。
大体世の中に流通する丸薬は薬剤を皆この蜂蜜を練り、不純物を除いて作る物である。
世の人々はこれによって他にない好い薬を使う事ができるようになった。
人々はこの物の利益を得るもの数えきれない。しかし、蜜は
どんな物かという事を研究する人はいない。ただ、味が甘くておいしいという事を
知っているだけである。なので、ここに開巻第一にこの蜂を描いてその功績を記述して
その、神や霊の計り知れない技がある事を広く人に示したのである。
だいたい、蜂で薬末を練ろうとする時に、そのままでは使いづらい。
これを練るには方法がある。分量を量って蜜を陶器に入れて鍋に沸騰した湯を沸かして入れ湯銭にして熱し
沸き上がろうとする時、泡が上に厚くなっているのを紙に浸して、竹ベラですくいとって
その蜜を冷水にたらして玉のようになって散らないのを目安とする。これで丸薬を練り
壺にしまって貯えるべきである。百六十匁((約600g))を練り泡を取り去り、百二十匁((約450g))を得るべきである。
このようにすれば、年を経ても壊れる事が無い。
江戸官家に蜂堂を庭に作って蜜をとって遊びとした事がある。堂内には
部署を作っており、その上の奥の所に王の座があり、郡臣が次に列になって
自然に官職があるようである。下に集めた花の会場がある。大きな巣を作っているのが蜜のありかである。
堂の下辺に小穴を並べて五門あけたら、その小穴にそれぞれ五匹の蜂が並んで各門を守っている。
来る蜂の貢ぐ花を監視している。群れた蜂は早朝に堂から出て正午ごろ花粉や
汁を含んで来て衛門に入る時監視役の蜂が是を確認して入れてやる。もし
花を含まず入りこようとするものがあれば、厳しく追い返して入れてやらない。争って拒む者がいれば
*備考
「千虫譜」の写しは多く乱丁も多いが、「開巻第一に〜記述して」等の記述から、
蜜蜂に関する記載が本来の「千虫譜」の巻頭にくるのは確かだろう。
また、自ら蜂の巣を採集する様を紀州(徳川家?庭内?)で観察する機会があったようである。
さらに、江戸官邸でも、遊びに蜂を飼い蜜をとったり、観察したりしたようである。
精密な図が描けたのはその為だろうか。

ミツバチの毒針はかえしがついており、針を抜くときに
ミツバチの内臓(毒袋でもある)が共に引きずり出されてしまうので
ミツバチは死んでしまう事がすでに知られている事がわかる。
また、刺された際は蜜を塗るという民間療法も紹介されている。

ミツバチに刺された場合、毒袋のついた針が皮膚に残るので、
落ち着いて、なるべく早く針を抜く事が重要である。
その後は傷を水で洗い、氷で冷やすことで、重症化を防ぐことができる。
稀にアナフィラキシーショックを起こす事があるので、
症状が出た場合はすぐに病院へ。

蜂蜜は非常に甘みの濃い液体なので、もしかしたら浸透圧で
毒が吸い出されるという事もあるのかもしれないが、
専門家の意見を待ちたい。真似はしないように。

メンバーのみ編集できます