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&ref(https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/e91124bf6dbaf4b9.jpg,100%)
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*原本Ａ
|center:[[原本Ａ1-13]]|
|[[&ref(https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/6cf3559b85f5296b-s.jpg)>https://image02.seesaawiki.jp/s/o/senchu-hu-memo/6cf3559b85f5296b.jpg]]|
*生物情報
ニホンミツバチ
*翻刻
凡蜂蜜ニテ薬本((A本末))ヲ練ントスルニ其侭ニテハ用ヒ難シ此ヲ練ル法アリ分料ヲ料リテ蜜ヲ陶器
ニ入レ鍋ニ沸湯ヲワカシテ入レ重湯ニテ煎シ沸上ントスル寸浮沫上に厚クナリタルヲ紙ニ
浸シ竹箆ニテスクヒ去リ其蜜ヲ冷水ニ滴テ珠ヲナシテ不散ヲ度トスコレニテ丹薬
ヲ練リ又壺ニ納メ貯へシ百六十匁ヲ練リ浮沫ヲ去リ百二十匁を得ヘシ如是スレハ年
ヲ経テモ不壊トナリ〇江都官家ニ蜂堂ヲ庭上ニ□((A本設))テ蜜ヲ採テ戯トシ給フ事ア
リ堂内部局ヲ構へ其上ノ奥所蜂王ノ座アリ群臣次第ニ列座シテ自然ニ官職
アルカ如シ下ニ聚花会場アリ大窠ヲ綴ル是蜜ノ在處ナリ堂ノ下辺ニ小竅並開テ五
門ニ比ス其竅外ニ五員の蜂卒並坐シテ各門各門ヲ守護ス来蜂ノ貢花ヲ監ス辟蜂早
晨ニ堂二出テ午時ニ花蕊及精液ヲ含ミ来テ衛門ニ入ル時監蜂是ヲ検察シテ
入ラシム若花ヲ銜マスシテ入来ルモノアレハ厳ク逐還シテ入レス争ヒ拒ク者アレハ群蜂是ヲ刺
殺ス或ハ風雨堂ヲ侵シ又雑人ノ毎ニ堂ヲ窺フ事アリ或ハ糞穢ノ気堂ニ過リ或ハ
堂衛破壊スル事アリ大黄蜂又ハ蟻蜘等ノ堂中ニ聚マル事アリ新ニ讓((A本喪))ヲ受タル人月信婦人
等ノ近ツキ見ルカ如キ群蜂盡ク去テ不帰若シ新ニ堂衛ヲ築テ清潔ナル寸ハ即還リ至ル事
アリ或ハ事ニ触テ満堂ノ蜂盡ク死スル事モマゝアル事ナリ故ニ堂ヲ設ル家宜戒慎スヘシ各々
勤行ノ役アル事右ノ図ヲ見テ知ルヘキナリ唐山ニモ其説アリ右((A本左))ニ挙ク陳�綮卮訶漸峩星�
蜜蜂身短而脚長尾有鋒螫衆蜂内有一蜂王形独大且不螫人毎日群蜂両朝名曰
蜂衛頗有君臣之義無王則衆蜂皆死一((A本二))王其一必分々出時老蜂王及遜位而出
衆蜂均㨍其半畧無多寡従王出者不復回旧房出則群蜂擁護其王不令
人見当採花特((A本時))一半候次出採如掠花少者受厳罰但採各花鬚俱
用甕足挟ニ花珠惟採蘭花則必背負一珠以此項献其王又有蜂将不善往
外採花但能醸蜜至七八月蜂将蓋死若不死則蜜皆被蜂将食去衆蜂必
餓故俗諺云将蜂活過冬蜂族必皆空亦一異也〇凡蜂蜜年ニヨリ得ル事多
寡アリ天気和順ニシテ翌春梅花多ク開テ津液ノ多キ年ハ吉トス蜜多又風雨フ
リツゝキ霜威早ク至リ花少キ年ハ精粋ノ液汁モ少シ凶トス其凶年ハ無能ノ黒蜂多
雑り生スル事アリ鳥モチニテサシ取尽ク殺スヘシ土蜂ニアヤカリテ此モノ生スルモノナリ群
臣能君命ヲ守リ子能父ノ令ヲ受孜々トシテ蜜ヲ醸成ス事ヲ勤メ其業ヲ守リ劬辛
スル事人倫ノ企及所ニ非ス其醸シナス蜜ヲ貯ムルヤ一半ハ人ノ為初ヨリ儲ナスカ如シ有
有情万霊ノ長タル人倫堅ク約完シテ一年二年ハ人ノ為ニ辛苦スベシ長クツゝク事アル
*書き下し
*現代語訳
だいたい、蜂蜜で薬末を練ろうとする時に、そのままでは使いづらい。
これを練るには方法がある。分量を量って蜜を陶器に入れて鍋に沸騰した湯を沸かして入れ湯銭にして熱し
沸き上がろうとする時、泡が上に厚くなっているのを紙に浸して、竹ベラですくいとって
その蜜を冷水にたらして玉のようになって散らないのを目安とする。
これで丸薬を練り壺にしまって貯えるべきである。百六十匁((約600g))を練り泡を取り去り、百二十匁((約450g))を得るべきである。
このようにすれば、年を経ても壊れる事が無い。
江戸官家に蜂堂を庭に作って蜜をとって遊びとした事がある。堂内には
部署を作っており、その上の奥の所に王の座があり、郡臣が次に列になって
自然に官職があるようである。下に集めた花の会場がある。大きな巣を作っているのが蜜のありかである。
堂の下辺に小穴を並べて五門あけたら、その小穴にそれぞれ五匹の蜂が並んで各門を守っている。
来る蜂の貢ぐ花を監視している。群れた蜂は早朝に堂から出て正午ごろ花粉や
汁を含んで来て衛門に入る時監視役の蜂が是を確認して入れてやる。もし
花を含まず入りこようとするものがあれば、厳しく追い返して入れてやらない。争って拒む者がいれば
群れの蜂がこれを刺し殺す。((前述の通りミツバチが刺す事は稀なので、蜂球の事か))
また雨風で巣箱が水浸しになったり身分の低い者((この後の文でもミツバチが清浄を好み不浄を嫌う記述が続くので、もしかしたら賤業者を指すか？))
がたびたび巣箱をのぞいたり、糞便の穢れた気が巣箱に満ちたり、巣箱を壊したりする事がある。
スズメバチや蟻蛛((アリグモ？))などが巣箱の中に集まる事がある。喪に服している人や、生理中の女性などが
近くで見ると、群れの蜂が皆さって帰ってこない。もし、新しく巣箱を作って、清潔にすれば
帰ってくる事もある。
また何かにつけて、巣箱いっぱいの群れ蜂がみな死んでしまう事もよくある。
なので、巣箱を置いてある家は慎戒べきである*6各々身を清めた後である事、
右の図から察するべきである。中国にも同じような説がある。右((左の誤字か))に挙げる。
漢文翻訳中
多くの場合蜂蜜は年によって得られる量が多かったり少なかったりする。天気が穏やかで
次の春梅の花が多く咲き花の蜜が多い年はよい。蜜も多い。また雨風が降り続き、霜が早くおりて
花が少ない年は清らかな液も少なくよくない。そういう年は何もしない黒い蜂((オスと思われる))が多く混ざって
出て来る事がある。トリモチ((植物の樹皮や樹液、根などから作り、強いねばつきを持つ物質。主に鳥を獲るのに使用した為鳥もちの名がある。))でとって、ことごとく殺すべきである。土蜂((？？))に影響をうけ、この蜂が出て来る。
群れの家来はよく王の命令をまもり、日夜苦心するのは人間の考えが及ぶ事ではない。
蜜を作って貯めるのも半分は人の為に最初から作っているかのようである。
あらゆる生物と霊の頂点である人倫をよく守るので、人の為に頑張る事を契約させるのは一二年にして、
長く続けることはあって（はならない。――次ページへ続く）
そういう訳で、この不思議なことをしり、この虫譜の巻の初めに載せて広く人にしらせたいと思う所である。
*備考
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*原本Ａ
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*生物情報
ニホンミツバチ
*翻刻
凡蜂蜜ニテ薬本((A本末))ヲ練ントスルニ其侭ニテハ用ヒ難シ此ヲ練ル法アリ分料ヲ料リテ蜜ヲ陶器
ニ入レ鍋ニ沸湯ヲワカシテ入レ重湯ニテ煎シ沸上ントスル寸浮沫上に厚クナリタルヲ紙ニ
浸シ竹箆ニテスクヒ去リ其蜜ヲ冷水ニ滴テ珠ヲナシテ不散ヲ度トスコレニテ丹薬
ヲ練リ又壺ニ納メ貯へシ百六十匁ヲ練リ浮沫ヲ去リ百二十匁を得ヘシ如是スレハ年
ヲ経テモ不壊トナリ〇江都官家ニ蜂堂ヲ庭上ニ□((A本設))テ蜜ヲ採テ戯トシ給フ事ア
リ堂内部局ヲ構へ其上ノ奥所蜂王ノ座アリ群臣次第ニ列座シテ自然ニ官職
アルカ如シ下ニ聚花会場アリ大窠ヲ綴ル是蜜ノ在處ナリ堂ノ下辺ニ小竅並開テ五
門ニ比ス其竅外ニ五員の蜂卒並坐シテ各門各門ヲ守護ス来蜂ノ貢花ヲ監ス辟蜂早
晨ニ堂二出テ午時ニ花蕊及精液ヲ含ミ来テ衛門ニ入ル時監蜂是ヲ検察シテ
入ラシム若花ヲ銜マスシテ入来ルモノアレハ厳ク逐還シテ入レス争ヒ拒ク者アレハ群蜂是ヲ刺
殺ス或ハ風雨堂ヲ侵シ又雑人ノ毎ニ堂ヲ窺フ事アリ或ハ糞穢ノ気堂ニ過リ或ハ
堂衛破壊スル事アリ大黄蜂又ハ蟻蜘等ノ堂中ニ聚マル事アリ新ニ讓((A本喪))ヲ受タル人月信婦人
等ノ近ツキ見ルカ如キ群蜂盡ク去テ不帰若シ新ニ堂衛ヲ築テ清潔ナル寸ハ即還リ至ル事
アリ或ハ事ニ触テ満堂ノ蜂盡ク死スル事モマゝアル事ナリ故ニ堂ヲ設ル家宜戒慎スヘシ各々
勤行ノ役アル事右ノ図ヲ見テ知ルヘキナリ唐山ニモ其説アリ右((A本左))ニ挙ク陳�綮卮訶漸峩星�
蜜蜂身短而脚長尾有鋒螫衆蜂内有一蜂王形独大且不螫人毎日群蜂両朝名曰
蜂衛頗有君臣之義無王則衆蜂皆死一((A本二))王其一必分々出時老蜂王及遜位而出
衆蜂均㨍其半畧無多寡従王出者不復回旧房出則群蜂擁護其王不令
人見当採花特((A本時))一半候次出採如掠花少者受厳罰但採各花鬚俱
用甕足挟ニ花珠惟採蘭花則必背負一珠以此項献其王又有蜂将不善往
外採花但能醸蜜至七八月蜂将蓋死若不死則蜜皆被蜂将食去衆蜂必
餓故俗諺云将蜂活過冬蜂族必皆空亦一異也〇凡蜂蜜年ニヨリ得ル事多
寡アリ天気和順ニシテ翌春梅花多ク開テ津液ノ多キ年ハ吉トス蜜多又風雨フ
リツゝキ霜威早ク至リ花少キ年ハ精粋ノ液汁モ少シ凶トス其凶年ハ無能ノ黒蜂多
雑り生スル事アリ鳥モチニテサシ取尽ク殺スヘシ土蜂ニアヤカリテ此モノ生スルモノナリ群
臣能君命ヲ守リ子能父ノ令ヲ受孜々トシテ蜜ヲ醸成ス事ヲ勤メ其業ヲ守リ劬辛
スル事人倫ノ企及所ニ非ス其醸シナス蜜ヲ貯ムルヤ一半ハ人ノ為初ヨリ儲ナスカ如シ有
有情万霊ノ長タル人倫堅ク約完シテ一年二年ハ人ノ為ニ辛苦スベシ長クツゝク事アル
*書き下し
*現代語訳
だいたい、蜂蜜で薬末を練ろうとする時に、そのままでは使いづらい。
これを練るには方法がある。分量を量って蜜を陶器に入れて鍋に沸騰した湯を沸かして入れ湯銭にして熱し
沸き上がろうとする時、泡が上に厚くなっているのを紙に浸して、竹ベラですくいとって
その蜜を冷水にたらして玉のようになって散らないのを目安とする。
これで丸薬を練り壺にしまって貯えるべきである。百六十匁((約600g))を練り泡を取り去り、百二十匁((約450g))を得るべきである。
このようにすれば、年を経ても壊れる事が無い。
江戸官家に蜂堂を庭に作って蜜をとって遊びとした事がある。堂内には
部署を作っており、その上の奥の所に王の座があり、郡臣が次に列になって
自然に官職があるようである。下に集めた花の会場がある。大きな巣を作っているのが蜜のありかである。
堂の下辺に小穴を並べて五門あけたら、その小穴にそれぞれ五匹の蜂が並んで各門を守っている。
来る蜂の貢ぐ花を監視している。群れた蜂は早朝に堂から出て正午ごろ花粉や
汁を含んで来て衛門に入る時監視役の蜂が是を確認して入れてやる。もし
花を含まず入りこようとするものがあれば、厳しく追い返して入れてやらない。争って拒む者がいれば
群れの蜂がこれを刺し殺す。((前述の通りミツバチが刺す事は稀なので、蜂球の事か))
また雨風で巣箱が水浸しになったり身分の低い者((この後の文でもミツバチが清浄を好み不浄を嫌う記述が続くので、もしかしたら賤業者を指すか？))
がたびたび巣箱をのぞいたり、糞便の穢れた気が巣箱に満ちたり、巣箱を壊したりする事がある。
スズメバチや蟻蛛((アリグモ？))などが巣箱の中に集まる事がある。喪に服している人や、生理中の女性などが
近くで見ると、群れの蜂が皆さって帰ってこない。もし、新しく巣箱を作って、清潔にすれば
帰ってくる事もある。
また何かにつけて、巣箱いっぱいの群れ蜂がみな死んでしまう事もよくある。
なので、巣箱を置いてある家は慎戒べきである*6各々身を清めた後である事、
右の図から察するべきである。中国にも同じような説がある。右((左の誤字か))に挙げる。
漢文翻訳中
多くの場合蜂蜜は年によって得られる量が多かったり少なかったりする。天気が穏やかで
次の春梅の花が多く咲き花の蜜が多い年はよい。蜜も多い。また雨風が降り続き、霜が早くおりて
花が少ない年は清らかな液も少なくよくない。そういう年は何もしない黒い蜂((オスと思われる))が多く混ざって
出て来る事がある。トリモチ((植物の樹皮や樹液、根などから作り、強いねばつきを持つ物質。主に鳥を獲るのに使用した為鳥もちの名がある。))でとって、ことごとく殺すべきである。土蜂((？？))に影響をうけ、この蜂が出て来る。
群れの家来はよく王の命令をまもり、日夜苦心するのは人間の考えが及ぶ事ではない。
蜜を作って貯めるのも半分は人の為に最初から作っているかのようである。
あらゆる生物と霊の頂点である人倫をよく守るので、人の為に頑張る事を契約させるのは一二年にして、
長く続けることはあって（はならない。――次ページへ続く）
そういう訳で、この不思議なことをしり、この虫譜の巻の初めに載せて広く人にしらせたいと思う所である。
*備考