栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



生物情報

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(右頁)

守瓜 ウリ ウリバイ
甜瓜或ハキウリノ葉ニ付テ
喰フ人ヲ見レハ速ニ飛ブ

一種黒色
紺色ニ
光ルモアリ

砂按子 ウシムシ アトビサリ
 ウスムシ 子ムリムシ コボ々
 マヽツコ 江戸サウトメ タウヘムシ野州
堂宮ノ縁ノ下陰
地土ノザラ々スル
処ニ凹ナル処アリ其中土中ニ此虫アリ

アハムシ 夜ハ尾ニ光リアリト云未タ試
ミズ初生ハ黒色中頃尾赤シ赤小豆ノ色ニ似
タリ老スルニ至テ褐色ニ白斑アリ漚ノ内
ヨリハイ出テ葉ニ取付テ
背割テ羽飛ノ虫ニ化
ス小蝉ニ似タリ人
捕ントスレハハ子テ
飛去ル五六尺ノ内
ニ過ズ夜ハ鳴ト
云共至小ノモノ
人耳ニ聞ヘガタシ
是ヲサゴロモゼミ
ト云ルヨシ

(左頁)

箸ニテホリミレハ
出ル土ヲカブリ
ニ三分下ニスムモノ
ナリ凹ナル処ニ蝿
蜘ノ類落レハ土中ヨリ
ハ子出テ口ノハサミニテ挟ミ土中ヘ引コミ食フ
若シ外ニ一箇ヲトリテ凹ナル処へ入レハ戦テヤ
マズ牛ノ戦カ如シ好テアトヘヒサル又跳テ仰
ニナル事アリ小児弄ヒ戦ハシム雄黄ト等
分ニ〆丸シ用テ狆ノ虫ヲ殺シ下ス妙薬ナ
リト云赤獅白灰使君子肉ヲ加ヘテ更ニ妙
ナリ

テツコバツコ
東上野方言

蟫 音滛 衣白魚 千金方 書魚 訓蒙■彙
蛃 正字通 䗨 同上俗字 シミ ハクムシ
書筐ニ生シ害ヲナス形魚ノ如シ
故ニ䗨字ヲモ用ユ白魚衣魚ノ

名アリ下野方言シロカ子ムシ
一種陰湿ノ処或ハ壁間ニ住ミ
光ナキモノ薩州
 ヒラセムシ

書き下し

現代語訳

(右頁)

守瓜 ウリ ウリバイ
甜瓜*1あるいは、キュウリの葉について
食べる。人を見ると、すぐに飛ぶ。

一種黒色で
紺色に
光るものもある。

砂按子 ウシムシ アトビサリ
 ウスムシ 子ムリムシ コボ々
 マヽツコ 江戸サウトメ タウヘムシ野州*2
寺や神社の縁の下の陰
土のザラザラする
所にへこんでいる所があり、その土の中にこの虫がいる。*3

アハムシ 夜は尾が光るというが、未だ試していない。
生まれた初めの頃は、黒色、中ごろには、尾が赤く赤小豆の色に似ている。
生長すると、褐色に白い斑がでて、泡の中から
はい出て、葉にくっついて、
背中がわれて、脱皮し、羽の生えた飛ぶ虫になる。
小さい蝉ににている。
つかまえようとすると、飛びはねて、
どこかへ去るが、五六尺*4の内に過ぎない。
夜は鳴くと ズ夜ハ鳴ト
いうけれども、とても小さい声なので、
人の耳には聞こえづらい。
これを、サゴロモゼミ
という理由である。

(左頁)

*5*6でほってみると、
出てくる。土をかぶり 
ニ三分*7下に住むもの
である。へこんでいる所にハエトリグモ
の仲間が落ちれば、土の中から
はね出て、口のハサミではさんで、土の中に引きこんで食べる。
もし、ほかに一匹をとって、へこんでいる所へいれると、戦ってやめない。
牛の戦いのようだ。このんで、うしろへ下がる。また、はねてあおむけに
なる事があり、子供が遊んで戦わせる。雄黄*8
同じで、丸薬にして用いると、狆*9の虫を殺し、下す妙薬であると
いう。赤獅*10白灰*11を使い、君子は肉を加えて、さらに効果を
あげるという。

テツコバツコ
東上野方言

蟫 音滛*12 衣白魚 千金方*13 書魚 訓蒙■*14*15
蛃 正字通*16 䗨 同上俗字 シミ ハクムシ
本を入れる箱に、わいて、害をなす。形が魚ににている。
そのため、䗨の字を使う。白魚衣魚の

名もある。下野*17方言シロカネムシ
ある種はじめじめした暗い所、あるいは、壁の間に住み、
輝きのないものもいる。薩州*18
 ヒラセムシ

備考

アワフキムシが蛍の幼虫である、または夜光るという伝承は広くあるようだ。
夜鳴くというのも伝承の類であろう。

バラ(?)につくアワフキムシB本に見つからず。見つけたら教えてください

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