栗本丹洲著「千虫譜」のデータベース的なものを作りたい



原本A

生物情報

イボタノキ イボタロウカイガラムシ

翻刻

リミルモノ也備後ニテ山オシロイ阿州ニテトバシリ播州ニテトスベリト云此虫粉ヲトリテ障子ノキシミ
テ走リ難ニヌレハ閾ヨクコレガタメ光滑ニシテ戸ヨリ動キ走ル因テ此方言アリ又疣目ヲトルニ用ユ疣
ノ根ヲ緊ク結ヒ置キ此蝋一滴熱ニ乗シメ滴下スレハ疣目ヌケサル因テイボタノ名アリイボトリノツマ
リタルナリ此虫巣ヲ採集タルヲ蝋滓ト云布袋へ入レ煎シ漉シ冷水中ニ投シテ蝋トス再煎シテ磁罐中
ヘコシ入レ布ニテ漉ハ色潔白ニシテ光アリ甚堅シ擘開キコレヲ破レハ(ノギスジ){刷糸}紋ヲナスコレヲ虫白蝋ト
称シテ漆蝋木蝋ト分別ス元来瘍科ニ用テ膏薬トナスハ皆此蝋ヲ用ユヘキモノナリ唐山ニテ
ハ女貞樹ニ此虫ヲ養フ故ニ一名蝋樹ト云朱ヲ加ヘ練テ假珊瑚珠トナスモノナリ

書き下し

現代語訳

――前ぺーじより ば)かり見える。備後*1では山オシロ
イ阿州*2ではトバシリ、播州*3ではトスベリトいう。
この虫の粉をとり障子のきしんで、動きにくい時つかえば、
勢いがよく、これが光と滑らかさを引き起こし、戸が動き走るので、この方言がある。
又イボをとるのに用いる。疣の根をきつく
縛っておいて、この蝋を一滴、熱してたらせば、イボがとれる。その為イ
ボタの名がある。イボトリが縮まったものである。この虫の巣を集めた
のを蝋滓という。袋へ入れて熱して漉し、冷水の中に入れると、蝋になる。再び
熱して磁器の入れ物に漉しいれて布で漉せば、真っ白で光沢があり、とても堅い。
割き開き、これを割ると刷糸ノギスジ*4が見える。これを虫白蝋といい、
元来できものに用いて、膏薬とするのは、皆、この蝋を用いるべきものだ。
唐山*5では女貞樹*6でこの虫を飼育する。故に、蝋樹という。
朱色を加えて練り、にせ珊瑚球とするものである。

備考

A本には「最近よくあるイボ等のできものにつける軟膏にウルシからとった蝋を
つかうのはよくない。新しい物はかぶれる。」等の記述があるが、B本にはない。

なお、ここに紹介される方法で、本当にイボがとれるかどうかは不明。

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