最終更新: karasu_miyako 2021年04月08日(木) 17:42:04履歴
(右頁上段)
紫鉚虫 寛政中紅毛舩齎来者蛮名
コーセニイレ大サ碧蝉花 ノ実ニ似タリ状長円
イロ々ニ〆不定背高ク ツマミタル如
ク筋ウ子リテ黒光漆ニ
テ塗タルカ如 シウスキ
処ハ赤ク燕 脂色ヲ
ナスモノアリ 質堅硬
ナリ腹ハ平ク 凹ク内ヘ
巻込カ如クモノモアリ 脚ナシ
木枝ヘ粘着スル処ナリ
此虫ニ三粒ヲ小皿ニ入熱湯ヲ灌入レ明礬■許ヲ
入レハ立処ニ紅汁出テ燕脂色出ル煮■メテ彩
色ニ用ベシ虫ハ皮ノミ残ルモノナリコレハゼルマ
ニヤ国中ヨリ産スル一種ノ虫卵ニシテヨハンニス
ブルードト云モノニ〆今コーセニイレニ偽充スルモノ
ナリ另ニ図説アリ参考スベシ
(右頁下段)
柚虫 又臭橘ニモ生ス五月
ヨリ六七月□アリ
卓氏藻林虫類
云唐詩
有花暖
青牛臥
之句、注
云、花葉
上青虫
也、有両
角如蝸
牛然
(左頁)
此物稀ニ見ルモノニ〆名ナシ紗ニテ製セル団扇ノ如シ大サ胡麻子ノ如シ
其羽透明ニ〆亀紋小筋精密奇巧譬ルニ物ナシ是亦□(穴冠に未咼)虫ノ類なるへき乎
ナキザミ及アヅキアライト云小虫アリ又此■類ナリ
薄羽アリ上ノ方竪ニモ羽アリ三方ヘ出画筆ニモ及難シ
一体全クビイドロ ニテ作ルモノヽ如シ千芳軒俗称軍配
虫另ニ又図説ア リ参考スベシ
茴香花
紫鉚虫 寛政中紅毛舩齎来者蛮名
コーセニイレ大サ
イロ々ニ〆不定背高ク ツマミタル如
ク筋ウ子リテ黒光漆ニ
テ塗タルカ如 シウスキ
処ハ赤ク燕 脂色ヲ
ナスモノアリ 質堅硬
ナリ腹ハ平ク 凹ク内ヘ
巻込カ如クモノモアリ 脚ナシ
木枝ヘ粘着スル処ナリ
此虫ニ三粒ヲ小皿ニ入熱湯ヲ灌入レ明礬■許ヲ
入レハ立処ニ紅汁出テ燕脂色出ル煮■メテ彩
色ニ用ベシ虫ハ皮ノミ残ルモノナリコレハゼルマ
ニヤ国中ヨリ産スル一種ノ虫卵ニシテヨハンニス
ブルードト云モノニ〆今コーセニイレニ偽充スルモノ
ナリ另ニ図説アリ参考スベシ
(右頁下段)
柚虫 又臭橘ニモ生ス五月
ヨリ六七月□アリ
卓氏藻林虫類
云唐詩
有花暖
青牛臥
之句、注
云、花葉
上青虫
也、有両
角如蝸
牛然
(左頁)
此物稀ニ見ルモノニ〆名ナシ紗ニテ製セル団扇ノ如シ大サ胡麻子ノ如シ
其羽透明ニ〆亀紋小筋精密奇巧譬ルニ物ナシ是亦□(穴冠に未咼)虫ノ類なるへき乎
ナキザミ及アヅキアライト云小虫アリ又此■類ナリ
薄羽アリ上ノ方竪ニモ羽アリ三方ヘ出画筆ニモ及難シ
一体全クビイドロ ニテ作ルモノヽ如シ千芳軒俗称軍配
虫另ニ又図説ア リ参考スベシ
茴香花
紫鉚虫 寛政中*1紅毛舩*2もってきたもので、オランダ語で
コーセニイレ。大さは碧蝉花*3 ノ実に、似ている。形は長い物、円い物
色々で、ふぞろい。高さがあり、つまんだような
筋がうねって黒光りしている。漆で
ぬったようである。薄い
ところは、赤くえんじ色を
するものもある。質は硬い。
腹は平たく、へこみ、内側に 腹ハ平ク
巻き込んでいるようなものもある。脚はない。
木枝にくっつく所である。
この虫ニ三粒を、小皿に入れ、熱湯をそそぎいれ、ミョウバンを■*4すこしばかり
入れれば、たちまち赤い汁が出て、エンジ色になる。煮■*5詰めて彩
色に用いるべし。虫は皮だけ残るものである。これは、ゼルマ
ニヤ*6国中からとれる一種の虫の卵*7で、ヨハンニス
ブルードというもので、今コーセニイレに、ト云モノニ〆今コーセニイレニ仮に充てるもの
である。別に図説があるので、参考にすべし。
(右頁下段)
柚*8の虫 また臭橘*9にもつく。五月
から六七月 ヨリ六七月□*10アリ
卓氏藻林*11虫類で
いう。唐詩の
「有花暖青牛臥」の句*12、
注で云、花葉の上の青虫である、
蝸牛のような、二つの角があるように。
コーセニイレ。大さは碧蝉花*3 ノ実に、似ている。形は長い物、円い物
色々で、ふぞろい。高さがあり、つまんだような
筋がうねって黒光りしている。漆で
ぬったようである。薄い
ところは、赤くえんじ色を
するものもある。質は硬い。
腹は平たく、へこみ、内側に 腹ハ平ク
巻き込んでいるようなものもある。脚はない。
木枝にくっつく所である。
この虫ニ三粒を、小皿に入れ、熱湯をそそぎいれ、ミョウバンを■*4すこしばかり
入れれば、たちまち赤い汁が出て、エンジ色になる。煮■*5詰めて彩
色に用いるべし。虫は皮だけ残るものである。これは、ゼルマ
ニヤ*6国中からとれる一種の虫の卵*7で、ヨハンニス
ブルードというもので、今コーセニイレに、ト云モノニ〆今コーセニイレニ仮に充てるもの
である。別に図説があるので、参考にすべし。
(右頁下段)
柚*8の虫 また臭橘*9にもつく。五月
から六七月 ヨリ六七月□*10アリ
卓氏藻林*11虫類で
いう。唐詩の
「有花暖青牛臥」の句*12、
注で云、花葉の上の青虫である、
蝸牛のような、二つの角があるように。
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